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英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


by culturalnews

日本文化はすでに世界遺産

2008年10月5日  東繁春から 那須さんへ

<出品作品はすべて完売した>について質問があります。

わたしも、このロンドン、パリ博覧会での浮世絵の紹介が、日本と世界の関係を考えるときに、とても重要な出来事だと思います。

わたしが、目にした文章や学者から聞いた話では、浮世絵は、博覧会に出展される陶器の包み紙として使われ、ヨーロッパ人たちは、その包み紙に芸術性を見出し、驚いたことになっています。

ロンドン、パリ万博で、浮世絵が販売の対象となり、売却されたという話の出典を教えてください。
ヨーロッパ人が、浮世絵の美術的価値を見出し、屑紙(浮世絵)を捨てずに、その博覧会で売ってしまった、という解釈も成り立ちますね。仕入値がタダですから、ボロ儲けです。

なぜ、わたしが、この経緯にこだわるか、というと、「日本文化と世界の関係」を見ていると、ひとつの法則があるように思えるからです。

それは、日本人が文化を捨てたとき、地球上のどこかで、それを拾ってくれるひとたちがいる、ということです。
浮世絵は、その一番目の例になると、思われます。つまり、結果的にロンドン、パリ万博で浮世絵が世界に知られ、人気がで、ヨーロッパの芸術家に大きな影響を与えましたが、それは、日本人が意図したものではなかった、ということです。

日本人と浮世絵の関係を見れば、陶器の包み紙に使ったのですから、浮世絵を芸術品としてパリ博覧会に出品したのではないことは、明らかです。むしろ、浮世絵は、芸術品としての価値はない、という判断が徳川幕府の輸出担当役人にあって、陶器を引き立たせるための小道具として使われたのだと思います。(あるいは商人が勝手に入れたのかもしれません)

極貧のゴッホが浮世絵を所有してたのですから、ヨーロッパで販売された浮世絵の価格は、美術品と言えるレベルの価格ではなく、お土産物品レベルの価格ではなかったか、と想像します。

明治維新の廃仏毀釈で、国宝級の仏像が海外に流出したことも、結果的に日本文化をヨーロッパに紹介しています。また、最近のジョー・プライス夫妻の伊藤若冲コレクションも、日本人がすっかり若冲を忘れ、若冲の値段が下がっていたことが、外国人コレクターが集めることができるきっかけとなりました。

こう考えていくと、日本文化は、すでに日本人だけのものではなく、世界のひとびととシェアーしなければ、ならない存在になっていると、わたしは、思うのです。日本文化の価値を外国人がよく知っていて、日本人が忘れている、というのが、リアルなありようではないかと、思います。

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2008年10月5日 香川県観光振興課の那須です。

 おはようございます。お世話になっています。
毎週月曜日のメールです。よろしければご一読ください。

●私たちが忘れかけているもの

 前回、今年は、1858年に、井伊直弼率いる日本と、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ロシアの5カ国との間に大幅な治外法権、関税自主権の喪失などを内容とする不平等条約が締結されて150年目を迎え、特に日本文化の大好きなフランスでは、それを日仏交流150周年として、様々な交流イベントが実施されていることをお伝えしました。

 そして、パリセーヌ川畔に、日本の絵画作品を投影する大規模な光のショーが盛大に開催されたこともお伝えしました。

 今回は、如何に素晴らしい日本の伝統的な美が西洋諸国の思想や一流品に多大なる影響を与えたのか、お話します。

 日本の素晴らしい伝統的な美が西洋の美に影響を与えたのは、江戸時代初期の古伊万里磁器の輸出に始まったと言われています。

 16世紀までは、オランダの東インド会社を通じて、中国の磁器がヨーロッパに輸出され、シノワズリーが大流行していました。いわゆる中国趣味です。そして、磁器の焼成技術は、
当時は中国や韓国が格段の差で上回っていました。

 1644年に清が中国を統一、しかしその後数十年内乱が続き、中国からの大量の磁器輸入が困難になってきてからは、韓国や日本に目が向けられ、特に古伊万里磁器は、その焼成技術の高さや左右非対称や余白の美しさなどのデザインの素晴らしさでヨーロッパで大人気となりました。

 その後、古伊万里磁器の例えば唐草文様などは、ヨーロッパの近代デザイン革命であり
生活の芸術を持ち込む「アーツアンドクラフト運動」に大きな影響を及ぼし、1878年のパリ万国博覧会においても、フランスを代表するセブール社や、バカラ社のクリスタルランプなどもこぞって日本風意匠をまとっていました。

 その後、アールヌーヴォーやさらにはNYのティファニーなどにも多大なる影響を及ぼし、
「ルイ・コンフォート・ティファニー」の銀製品などを産み出しています。こういう風に整理してくると、いまさらながらに、改めて日本の伝統美のすごさを痛感します、

 浮世絵も同様で、1862年の第4回ロンドン博覧会、1867年の第4回パリ博覧会出品で、大ブームとなり、出品作品はすべて完売したそうです。それがきっかけとなり、浮世絵がヨーロッパ各地で紹介され、ミレーやルソーなどのバルビゾン派、ご存知、モネ、ドガ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、ゴーギャン、ロートレック、クリムトなどの日本人が殊の外大好きな印象派に大きな影響を与えました。
 
 非対称、中心をずらした構図、平面性、隈取り、色彩などあらゆる点に影響を及ぼしたのです。ゴッホは、はっきりと自分の絵の基礎は浮世絵と言い切っています。

 浮世絵も江戸時代では、庶民が楽しんだサブカルチャーの一つだと私は思っています。
また、古くは、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」、北斎の「北斎漫画」など日本が世界のアニメブームを牽引している原動力が実は歴史的にも実態として証明されます。それぞれの時代に残る縁起絵巻なども、巧みな絵画技巧とストーリー性は、ルーツのひとつと思うに立派な根拠となり得ると思われます。

 これを機会に日本の伝統的なものを見直すべきだと思います。そして、私たちの祖先は、いつの時代も自然を大切にしてきました。そして、自然に生かされていることへの感謝の念、この気持ちこそ、私たちが忘れかけている大切なことだと思われます。
by culturalnews | 2008-10-09 19:25