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英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


by culturalnews

Cultural News 2006年4号日本語要約

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開園25年を迎えるカリフォルニア大学ロングビーチ校の日本庭園(4ページに続く)

 カリフォルニア大学ロングビーチ校の中には、約1.3エーカーの広さで、年間、約6万人が訪れる日本庭園がある。この日本庭園は、篤志家のロレイン・ミラー・コリンズ夫人が亡くなった夫を記念するために建設費が大学に寄付されて、1981年に作られたもので、今年で、開園25年を迎える。日本庭園の正式名称は、ミラー氏の名前を冠につけ「アール・バーンス・ミラー・ジャパニーズ・ガーデン」という。

 現在のカリフォルニアでは、アメリカ人が寿司を食べたり、アメリカ人の子供たちが空手を習うことが当たり前になっている。こうしたアメリカ人の日本への関心の始まりは、19世紀のヨーロッパで、画家モネやゴッホらが浮世絵から影響を受けたことに、さかのぼることができる。

 20世紀になって開催されたウィンやサンフランシスコの万国博覧会では、日本庭園が作られた。ロレイン・ミラー夫人の日本庭園への関心も、こうした西洋人の日本文化に対する関心の文脈の中で考えることができる。

 カリフォルニア大学ロングビーチ校教授で日本庭園に詳しいケンドル・ブラウン博士によれば、アメリカでは1960年代から日本庭園が各地で作られるようになり、20世紀全体で見ると、日本庭園の建設数は、日本国内よりも、海外の方が多くなっている。海外の日本庭園は、北米で多く作られており、とくに西海岸に多く見られる。

 アメリカでの日本庭園作りには、日本人と日系人が大きな役割を果たしている。日本人・日系人は、日本庭園を通して、日本文化や日本人としてのアイデンティティーを広めてきたのだった。

 ミラー日本庭園は、カリフォルニア大学ロングビーチ校造園学部のエド・ラベルが最初の設計をした。しかし、早い段階から日本庭園デザイナー、カワナ・コウイチがコンサルタントとして造園に参加し、重要な役割を果たしている。

 現在のミラー日本庭園は、米国剪定会などの日系人団体による支援と、専属ガーデナーの日本人、是枝ノブヤスの監督の下で仕事をする多数のボランティアによって、メインテナンスが行われている。また、全日本愛鯉会のロサンゼルス支部は、日本庭園のもっとも重要な部分である、池の鯉の手入れを担当している。こうした、さまざまな団体や専門家のコーディネーターをしているのが、庭園学芸員の肩書きをもつ園芸と庭園の専門家、バージル・ヘテッィク博士である。

 また、ミラー日本庭園で行われる日本文化イベントでは、裏千家の松本宗静さん、ロングビーチの太鼓グループ・こころ太鼓などが定期的に参加している。

 ところで、ミラー日本庭園は、イベント開催時は有料となるが、通常は無料で公開されている。ミラー日本庭園の収入源となっているのが、土曜日に行われる結婚式。毎週土曜日は、一般の入場を断り、結婚式や披露宴の会場として貸し出されている。年間、約130組がこの庭園で、結婚式を挙げている。
 
(1ページの写真が、ミラー日本庭園。カルチュラル・ニュースによる撮影)

(この記事は、ミラー日本庭園の企画部長、クリス相原によって書かれた。)

日本庭園の“学芸員”はアメリカ人ナチュラリスト(博物学者)(5ページに続く)

 博物学者(ナチュラリスト)バージル・ヘティック博士が最初に、ミラー日本庭園について相談を受けたのは、1981年のことで、当時、へティック博士は、オレンジ・カウンティ行政区内の教育委員会の仕事をしていた。

 「美術館の学芸員は、展示する絵画を選び、もっとも美しく作品を構成することが仕事です。庭園の“学芸員”の仕事も、基本的には同じで、庭園を構成するたくさんの要素をもっとも調和の取れた状態にもっていくことが仕事です」とヘティック博士は説明する。

 ヘティック博士は、1933年生まれで、子供のときからオタマジャクシや小魚を飼うことが好きだった。その興味が鯉を飼うことに発展し、1961年には自宅に日本式庭園を造った。本業は、教育委員会の管理職を続けながら、余暇の時間に、日本庭園を研究するため、ガーデナの日本人の集まりをさがし、全日本愛鯉会や剪定会の会合に参加した。

写真:日本の色彩 チューリップ(廿楽美登利=つづら・みどり=写真展から)(4ページに続く)

 チューリップは、江戸時代の文久3年(1863年)にフランスから輸入された。今では日本の春の花だんを彩る人気の花の一つである。 品種改良されて、このように1本の茎に3つの花が咲くものもある。チューリップは、富山県と新潟県の「県の花」に指定されている。
 廿楽美登利写真展「日本の色彩」が、9月に、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校で予定されている。

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第二次大戦後の日本を捉えた写真展、ハマー美術館で、6月4日まで

 第二次大戦が終わった8月28日から9月19日の日本を撮影した写真展が、UCLAハマー美術館で開催されている。6月4日まで。米軍は、日本国内に捕虜となっていた米軍兵の解放の瞬間を撮影するため、アメリカから有名写真家を派遣した。その中のひとりにハリウッド・カメラマンとして名声を得ていたジョン・スオープがいた。スオープは、1930年に日本を訪問しており、戦前と終戦直後を見比べることができた。スオープの写真は、当初の命令の米人の解放シーンばかりでなく、スオープ自身の判断で、日本人の生活を記録している。この撮影期間中、スオープは、ロサンゼルスの妻へ日本のようすを手紙で知らせており、今回の写真展は、妻に送った手紙の内容もいっしょに公開されている。

奈良1300年祭を記念してUCLAでシンポジウム、4月21日

 奈良に都ができて1300年の記念シンポジウムがUCLAファカリティー・センターで午前9時から午後6時まで行われる。アジア言語・文化学部のマイケル・マラ教授が取りまとめた企画。京都市立芸大の中西進学長、慶応大学の寺澤行忠教授など日本から学者が多数参加する。

故ユウジ・イチオカ教授の業績をたたえる会議が4月22日にロサンゼルスの洗心寺で行われる

 「アジア系アメリカ人」という言葉を作り出したことで、知られている二世の故ユウジ・イチオカ元UCLA教授の業績をしのぶ集いが、4月22日に行われる。アジア系アメリカ人研究者が参加する。

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坂東流家元、坂東三津五郎十代目のロサンゼルス演目は、得意芸の「流星」と「喜撰」6月11日

 日本舞踊坂東流(坂東三津五郎十代目家元)の坂東会は、6月11日、リトル東京の日米劇場で、敬老シニア・ヘルスケアのためのチャリティー舞踊会を行う。ロサンゼルス公演のため、日本から踊り手、裏方など約30人が来る。ロサンゼルスからは、坂東三津拡師匠、坂東三津佐師匠、坂東和勝恵師匠の3つの教室から、計30人が出演する。

 坂東三津五郎十代目の演目は、得意芸とされる「流星」と「喜撰」。「流星」は中国の話が元になっており、雷夫婦とその子供、そして祖母のコミカルなやり取りが、舞踊で表現される。「喜撰」は、古今集の中の六歌仙のひとり喜撰法師をモチーフにした踊り。喜撰法師が江戸時代の京都・清水に現れ、茶屋の娘に恋をする、という筋書き。

 アメリカでのチャリティー公演は、坂東三津五郎八代目の発案で、九代目、十代目にその意図が引き継がれてきた。坂東流としては、初めてのアメリカでのチャリティー公演となる。6月11日は、午後1時と6時の2公演で、それぞれ、チケットは50ドル。

ロサンゼルスで、唐代茶道の再現、6月25日(6ページに続く)

 中国・唐代の茶道の研究家、京都の棚橋こう峰さんが、6月25日にロサンゼルス・ニューオータニ・ホテルで唐代の茶道を再現する。棚橋さんの研究は、1987年、中国・西安近くで発掘された唐時代の茶器の復元を通して深まった。また、唐時代に書かれた茶の専門書「茶経」を研究して、唐代の茶葉の作り方も復元した。ロサンゼルスには、復元した亀型の入れ物、固めた茶葉をすりつぶす薬研(やげん)など12点を持ってくる。

 連絡先は、詩吟グループを主宰する奥村さん(323-728-1990)と裏千家の会員、吉見(きちみ)さん(818-547-1122)まで。 

カリフォルニア大学ロングビーチ校の日本庭園で園芸学シンポジウム、4月9日(6ページに続く)

鯉の飼い方や、盆栽についての講習会が行われる。参加費はそれぞれ、40ドル。

美術館カレンダー(7ページに続く)

坂東三津五郎がパシフィック・アジア美術館で講演、6月4日

ロサンゼルス・カウンティー美術館、日本パビリオン
日本画(鳥、花、獣)、5月23日まで
近代日本の版画「エッチング」、5月23日まで



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ハンフォード、リー美術館の新展示「表面・線・色彩:日本美術のデザインの特徴」4月4日から7月29日

 リー美術館の春の展示は、日本美術のデザインの特徴を、表面、線、色彩の観点から見比べてみるという趣向。今回の展示学芸員は、現在、マサチューセッツ州ピーボディー・エセックス博物館の教育プログラムを担当しているミドリ・オカ。オカは、1997年と1998年にリー美術館の学芸員インターンと学芸員をしていた。

ハンフォードで春祭り、4月30日(5ページに続く)

 リー美術館の春祭りは今年で6回を迎える。カリフォルニアの画家18人の作品の展示と即売、盆栽クラブによる展示、南カリフォルニア日米室内楽団による音楽、お茶のお手前、ロサンゼルスの寿司職人学校の指導者アンディー松田による寿司教室、刺し子教室などが行われる。

開園25年を迎えるカリフォルニア大学ロングビーチ校の日本庭園(1ページからの続き、5ページへ続く)

広告:オレンジ・カウンティ仏教会の花祭り、4月8、9日



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写真特集、坂東秀十美日本舞踊教室による「日本の四季」

 3月4日に行われた舞踊公演には、リトル東京の日米劇場に約500人の観客が集まった。写
真は、坂東三津拡と秀十美による「鶴亀」(左上)、「鶴亀」を踊る坂東秀子(左下)、「団十郎娘」を踊る坂口あきとチングよし子(右上)、「あやめ売」の寺前千恵美とバー加奈(撮影は、ジェイムズ・ゴ)

ハンフォードで春祭り(4ページからの続き) ソルト・レーク・シティーで日本祭り、4月29日

日本庭園の“学芸員”はアメリカ人ナチュラリスト(博物学者)(1ページからの続き)

開園25年を迎えるカリフォルニア大学ロングビーチ校の日本庭園(5ページからの続き)

日本の色彩 チューリップ(1ページからの続き) 広告:日本語学園協同システム、春の新学期のお知らせ

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寿司職人学校の校長、アンディー松田のコラム

 ロサンゼルスの寿司レストランで提供されるマグロは水銀汚染されているという記事が、3月はじめにロサンゼルス・タイムズに掲載され、続いて、ロサンゼルスのローカル・テレビ局が、同じ問題を取り上げたニュース番組を放送しました。この報道では、寿司レストランのマグロはすべて水銀汚染されている、という取り上げ方でした。しかし、ロサンゼルスで、マグロを提供しているのは、寿司レストランだけではありません。ツナ(マグロ)サンドイッチは、どこの店にもあるものですし、メキシコ料理でもマグロを使います。南カリフォルニアにたくさんあるシーフード・レストランでも、マグロを使っています。

 こうした全体像を無視して、水銀汚染と寿司レストランを結びつける報道は、あまりにも不公平です。この問題では、寿司レストランこそが被害者では、ないでしょうか。

日本の視点:軍事問題分析家、神浦元彰のレポート、岩国市の住民投票は、米軍基地の使用計画を止めることができるか?

 広大な米軍基地を抱える山口県岩国市で、米軍機の岩国移転の賛否を問う住民投票が、3月12日に行われた。結果は87%が反対だった。しかし、日本で初めての米軍問題についての住民投票は、法的な拘束力がなく、4月には、合併による新市長選挙が行われ、米軍機移転の賛成派が当選する可能性が大きい。米軍の基地拡張や訓練は、日本人にとってもっとも対応が難しい問題である。米軍基地のある町は大きなジレンマに陥っている。

カリフォルニア大学ロングビーチ校の日本庭園で園芸学シンポジウム、4月9日(3ページからの続き)

ロサンゼルスで、唐代茶道の再現、6月25日(3ページからの続き)

広告:日本美術専門のリー研究所

広告:白形伝四郎商店のお茶

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美術館カレンダー(3ページからの続き)

加藤駐米大使からの手紙

 拝啓 立春を過ぎ、一日一日と春の息吹が感じられるようになって参りましたが、東様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

 「Cultural News」拝見させていただきました。日本の文化について、わかりやすく、しかも幅広い年齢層に受け入れられるように記事が記載されており、感銘致しました。

 同紙は既に月間6千部を発行されていると伺いました。日本文化を多くの方に紹介頂き、両国の交流に大きな役割を果たされていらっしゃる事につき、とても頼もしく、また有り難く感じております。

 種々ご苦労もおありかと存じますが、引き続きご活躍頂けますよう祈念しています。      

      敬具
                    平成十八年二月二十七日 駐米大使 加藤良三

映画会「ゴーヤちゃんぷるー」4月16日

東繁春の発行人日記「小さな記事でも、見逃さないで」

 このページに掲載されているように、加藤駐米大使から、カルチュラル・ニュースへ手紙が来ました。すでに、先月号で、お知らせしたように、カルチュラル・ニュースのことが、日本の教科書(東京書籍、新編 新しい社会 歴史)に掲載されました。この知らせを東京書籍から受け取ったのは、2月20日で、ちょうど次の日が、加藤大使がロサンゼルスで講演をされる日でした。そして、わたしは、このことを加藤大使に知らせなければならない、と思いました。

 というのは、教科書の編集者がカルチュラル・ニュースを見つけたことと、加藤大使が関係あるからです。2003年10月25日付けの朝日新聞東京版の夕刊に、わたしを紹介するちいさな記事が掲載されました。わたしの記事の上には加藤大使の写真と記事が掲載されていました。このとき、わたしは、加藤大使とのご縁を感じました。

 わたしの記事が、東京書籍の教科書編集者の目にとまった理由というのは、小さな見出し「日本文化を知らぬと痛感」でした。このコメントを、教科書に使いたい、ということでした。この編集者も、現在の日本人があまりにも、日本の歴史や文化を知らない状況に危機を感じていたのでは、ないでしょうか。

 2月21日、ロサンゼルス・ニューオータニ・ホテルの講演会のあとで、加藤大使に直接、お会いして、教科書掲載のことをお伝えし、カルチュラル・ニュースのバック・ナンバーをお渡ししました。その返事としていただいたのが、2月27日付けのお手紙でした。

 小さな新聞記事でも、見落とさないようにしてください。どんな、チャンスがあるか、分かりませんよ。

広告:芥川婦身、お茶と着物教室          広告:高級住宅貸家、月額3800ドル

広告:スシ職人学校、2ヶ月でスシ職人になれる   広告:住宅ローン・ファイナンシャルプラニング

広告:「日本の家庭料理」平安インターナショナル出版

8ページ

家庭料理:鶏肉と野菜の煮込み

広告:坂東流チャリティー舞踊会、6月11日

広告:アール・バーンズ・ミラー日本庭園(カリフォルニア大学ロングビーチ校内)結婚式、披露宴を日本庭園で


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by culturalnews | 2006-04-17 14:59