英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


by culturalnews

<   2008年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

◎日本の現代セラミック(陶芸)展、ハンフォードのクラークセンターで11月22日から開幕 (P01からP06へ)

日本の現代セラミック(陶芸)作家30人の作品54点を集めた「粘土の中の寛大さ:ナタリー・フィッツ・ジェラルド・コレクションによる近代日本のセラミック」展が、11月22日からハンフォードのクラーク・センターで始まる。会期は1月30日まで。

日本の現代セラミックは実に、多様なスタイルと造詣技術で作られている。茶道の道具のように質素さや、未完成、無常を表現するわびさびのスタイルもあれば、色彩豊かな表現スタイルもある。日本のこうした多様なセラミックの伝統は新石器時代にまで、さかのぼることができる。日本の新石器時代は、世界史のなかでも最も年代が古い。

ニューメキシコ州サンタフェ在住の実業家ナタリー・フィッツ・ジェラルドが収集した現代日本作家のセラミックは、この両極端のスタイルを含めて、日本の陶芸作家を網羅している。

今回の展示作品を年代順に見ていくと、伝統を現代に取り入れた志野焼や瀬戸黒を完成させた荒川豊蔵(1894-1985)と北大路魯山人(1883-1959)の作品があげられる。荒川豊蔵は1955年に人間国宝に認定されている。

そして、民藝運動で知られている濱田庄司 (1894-1977) と弟子の島岡達三 (1919-2007) の日用品の素朴さの中に芸術性が見出される作品が続く。濱田庄司と島岡達三はいずれも、人間国宝になっている。

陶芸を、実用品の制作からオブジェを作ることに発展させたのが鈴木治(1926-2001)をリーダーとする走泥社(そうでいしゃ)運動(1948年から)だった。

その後に続く現代作家ではヤナギハラ・ムツオ(1934年生まれ)、森野彰人(1958-1992)、鈴木五郎 (1941年生まれ) らである。この時代の日本人陶芸家はアメリカ人の陶芸家にも大きな影響を与えている。鈴木五郎は、織部焼の手法を現代的に使っている。森野彰人はインストレーションで知られている。

クラーク・センターは、カリフォルニア州中部に位置し、ロサンゼルスから車で3時間。

◎日本画のプライス・コレクション・アンコール展が、開催中 (P01からP05へ)

江戸時代中期の日本画コレクションとして世界的に有名なプライス・コレクションの日米巡回展は約1年をかけて、アメリカではスミソニアン博物館、そして、さる9月14日にロサンゼルス・カウンティー美術館(LACMA)で終了した。LACMAでは、約3カ月の展示期間中に約4万人の入場者があった。

この有名展示の余韻を味わってもらうために、LACMA日本館では「プライス・コレクション・アンコール」展を9月21日から開催中、期間は1月4日まで。曽我蕭白、ナカミチ・スエサダなど25点が展示されている。

11月2日午後2時には、同美術館のブラウン・オーディトリアムで、コレクターのジョー・プライス氏のインタビュー映像が上映され、プライス本人が会場からの質問を受ける。入場は無料。予約は必要なし。

LACMAの根付展「民話と英雄」展8月28日から1月27日

LACMAの現代日本のセラミック展 10月4日から2009年5月31日
日本を代表する作家、コンドウ・タカヒロ、三代目徳田八十吉、鈴木治、カクレザキ・リョウイチなどの作品と、今回の展示でもっとも特徴ある作品となっている深見陶治(ふかみ・すえはる)の水平方向に伸びた作品も展示されている

◎世界中からインターンをひきつけるカリフォルニア州中部の日本美術館 (P02からP06へ)

ロサンゼルスの現代アーチストで、鎧兜(よろい・かぶと)販売のサムライ・ストアーの販売部長を務めるダーリン古川によるエッセー。自分の車を運転して、ロサンゼルスから3時間かかる、畑が広大にひろがるカリフォルニア州中部のハンフォードにある日本美術館・クラーク・センターを訪れた話。

ダーリンはクラーク・センターで、インターン(研修生)としてパリから来て、今年の初めから1年間の予定で滞在しているセリーヌ・メーエの話を聞いた。

セリーヌは、ルーブル美術館学校で美術史を学んだのち、国立東洋言語文明大学で日本語を勉強した。そしてソルボンヌ大学で美術史の修士号を得た。これまで、日本には短期間滞在した経験がある。

クラーク・センターには、現在2人の研修生がそれぞれ1年間の予定で滞在している。セリーヌの研修期間は2007年度冬季から2008年度冬季までで、11月22日から1月30日までの「粘土の中の寛大さ:ナタリー・フィッツ・ジェラルド・コレクションによる近代日本のセラミック」展がセリーヌの最初で最後のクラーク・センターでの学芸員としての仕事になる。

研修生として日本美術を研究するために、わざわざヨーロッパから、カリフォルニア州中部へやって来た理由を聞いてみた。セリーヌの答えは、大きな美術館は分業で、研修生は、まず作品に触る機会がない。クラーク・センターでは、実際の作品に触れることができるし、展示を企画するために、一人でなんでもやらなければならないので、身に付いた勉強ができる。

ダーリンは、セリーヌの案内で、クラーク・センター内のギャラリー棟に付属している所蔵庫の見学をした。ここある、京都の陶芸作家、深見陶治(ふかみ・すえはる)のコレクション数は、世界で最も数が多い。特に、深見の初期の作品は、日本には残っておらず、クラーク・センターしか所蔵していない。

セリーヌが担当する現代日本の陶芸作家の展示は、ニュー・メキシコ州サンタフェに住む実業がナタリー・フィッツ・ジェラルドが収集した作品の中から30人の作家、54点を選んだもので、伝統的な作風もあれば、現代芸術的な作品も含まれている。

ダーリンは、陶芸についての知識はまったくなかったので、セリーヌから焼物の産地や焼き方の説明をうけたときは、まったく面食らってしまった。

ダーリンは、クラーク・センターの印象を、ウエスタン映画の風景のような中に、忽然とすばらしい日本建築が現れる。この美術館の展示はすばらしいので、だれもが、一度は訪れることを勧める、と言っている。

◎イラストで描く日系アメリカ人の家庭:日本語しか話さないおばあちゃんと英語しか話さない孫娘 (P03)

ロサンゼルスの日米文化会館では、同会館のドイザキ・ギャラリーで、ジャネット・ミツイ・ブラウンが20年以上描き続けている絵本「おばあちゃん」シリーズのイラスト展示会を11月22日から12月20日まで、行う。

「感謝祭のおばあちゃん」「おばあちゃんとお正月」「おばあちゃんのお盆」の三冊からのイラストが展示される。

また、日系アメリカ人の日常生活で使われていた品物の展示も行われる。入場料は無料。

◎映画監督・黒澤明の偉業を称える展示がアカデミー本部ビルで3カ月行われる(P3)

映画監督・黒澤が残した100枚以上の脚本下絵が、脚本などと一緒に、ビバリーヒルズのアカデミー本部の1階と4階のギャラリーで9月19日から12月14日まで展示されている。入場料無料で、一般も見学ができる。黒澤明生誕100年記念事業の一環。


◎サンタバーバラで日本文化を広めたアメリカ人を記念する茶会イベント (P03)

サンタバーバラで、茶道や活花の紹介に貢献した故ハーティー・アン・ルック(2007年12月死去)を記念する茶会イベントが、サンタバーバラ・ボタニック・ガーデンで、12月6日(土)午前10時30分から午後2時まで行なわれる。

ボタニック・ガーデン内にある茶室「心観庵」は、2000年に、裏千家家元がハーティー・アン・ルックさんの名前にちなんで、名付けた。

◎明治神宮で見た東京の風景の美しさ (P04)

LA東京会は、発足10周年を迎えたことを記念して、東京をテーマにした写真コンテストを開催した。会長賞を取ったのが、この写真で、テーマ「明治神宮でみた東京の風景の美しさ」、バンナイズ在住のダニエル・タムランさんが2003年5月、明治神宮前で撮影したもの。

タムランさんは、長く米軍の軍属の仕事を務め引退した。若いときから続けているグラフィック・デザイナーと写真に引退後は打ち込み、活動を続けている。

写真は、明治神宮で咲き誇っている五月の花を見るために行ったとき、偶然に出会った式典帰りの着物のグループ。

タムランさんは1962年から1969まで、明治神宮のある代々木公園に近い原宿に家族といっしょに住んでいた。タムラン家の子供たちは、明治神宮で七五三のお祝いをした。当時は東京オリンピックの時代で、選手村も代々木公園の中にあった。また当時の代々木公園は、日曜日になると若者が集まり、パフォーマンスをするので、それを見るために、多くの人が集まる場所だった。

◎東京からのレポート「日展」 (P04)

アカデミー賞の日本絵画版といえるのが、日展。第40回日展が10月31日から12月7日まで、六本木の国立新美術館で行われている。今回は、14519点の応募があり、その中から選ばれた2349点が展示されている。

日展の起源は、明治33年(1900年)オーストリア公使だった牧野伸顕がヨーロッパの絵画水準の高さを見て、公設展覧会の開催を痛感したこと。明治39年(1906)に文部大臣となった牧野は、翌年、第1回文部省美術展覧会を開催した。

第二次大戦後、主催が社団法人となり「日本美術展覧会」と改称され、さらに昭和44年(1969)には、現在の名称「日展」が正式名称になった。

日展は、東京のあと、2008年12月13日から2009年1月16日が京都市美術館、1月21日から2月15日が愛知県立美術館ギャラリー、2月21日から3月22日が大阪市立美術館、4月25日から5月17日が富山県民会館美術館、6月27日から7月20日が福岡市美術館、8月8日から8月31日が長崎歴史文化博物館で、巡回展示される。

◎第19回カリフォルニア愛石会の展示 (P4-P5)

第19回目のハンティング・ライブラリー内フレンズ・ホールで開催される「カリフォルニア愛石会」の展示は、12月27日から1月2日まで(1月1日は休館)。水石を含めて約150点が展示される。

カリフォルニア愛石会は1983年に、盆栽愛好家のリガル夫妻(ラリーとニナ)によって設立された。当初日系人の盆栽専門家の指導を受けていたが、日系人の高齢化とともに、現在はアメリカ人会員が増加している。愛石会メンバーは、同時に盆栽愛好家である。

◎インスピレーション日本発:京都グランドホテルの料理長のレセピー紹介 (P05)

今月はヨシオカ・タケヒコ(ニックネーム・ヨシ)から教わったアイス・カービング(氷の彫刻)について紹介する。アイス・カービングができるようになって、わたしは、シェフとしてより創造的な仕事ができるようになった。アイス・カービングはロシアが発祥で、ついで日本で発展している。

アイス・カービングを初めて見たのは1988年のことで、場所はオレンジ・カウンティーの小さな製氷所だった。ヨシは300ポンド(約150キログラム)の氷塊をたちまちのうちに、飛び跳ねる魚や羽ばたく鷲、力あるれる龍に彫り上げていった。しばらく、ヨシの氷作業場へ通っているうちに、ヨシはわたしにアイス・カービングを教えてくれるようになった。

それから20年がたち、わたしは、今でもヨシとの付き合いを続けている。そしてわたしは、全米アイス・カーバー協会(NICA)のメンバーになり、15年がたっている。京都グランドホテルでは、お祝いの席、結婚式などの特別行事には、このアイス・カービングを用意することができる。

11月20日には、京都グランドホテル内のアザレア・レストランに氷の彫刻を並べて、サンクス・ギビング・バッフェ(バイキング)に色を添える。

マーティン・ギリガンは、ニューヨーク育ちで、ニューヨークの超一流ホテル、プラザ・ホテルやフォーシーズン・ニューヨークで調理場を指揮してきた。カリフォルニアで調理師学校講師をへて、2008年6月から、京都ホテルの料理長になる。

◎アンディー松田の寿司学校:レストラン経営者にも必要な基礎知識 (P05)

わたしの寿司学校にはさまざまなタイプのひとが習いに来ます。寿司調理の技術を身につけて、レストランのシェフになろうという人が一番多いのは、もちろんですが、すでにレストランを持っている経営者も、生徒にいます。

現在、メリーランドから来ている女性は、中華料理店の経営者ですが、この店では寿司メニューも取り扱っています。この女性経営者は台湾から来た人なので、中華料理のメニューや食材のことはよくわかります。しかし、寿司のことになると、正確な情報を得る場所が近所になく、困っていました。

アメリカでは、中華料理店やタイ料理店で寿司メニューがあるのは、もはや、めずらしいことではなくなりました。一般のアメリカ人は、アジア系の料理店であれば、寿司があるものと期待しているのです。経営者サイドから見ても、寿司メニューを入れることは売り上げを増やす絶好のチャンスなのです。

しかし、このメリーランドの女性経営者のように、日本食について、分からないことがある場合、寿司に関しては日本人の職人に任せるしかなくなります。すると、職人が辞めて、新しい職人が店に来た場合、調理方法が変わり、ときには、メニュー自体が変わってしまうことが、起こります。

レストラン経営者としては、食材コスト、メニュー、味付けは、常に同じでなければならないことなので、経営者自身がある程度の寿司の知識を持っている必要に迫られるのです。

この女性経営者が、私たちの寿司学校に問い合わせをしてきたときは、講師は日本人かどうか、寿司を教えることができる経験を持っているか、2ヶ月の講習が終わったあとでも、質問をすることができるか、どうかなど、細かいことを質問してきました。

もちろん、私たちの学校は、この女性経営者の要求にすべて答えることができます。通常の寿司職人養成クラスでも、食材コスト、レストラン経営、衛生問題は、いつも、わたしが、教えている内容なのです。

◎パシフック・アジア美術館で「サムライ・イメージ」展 (P7)

江戸時代に描かれた「サムライ・イメージ」と現代のアニメが描く「サムライ・イメージ」を比較する展示。サブタイトルが「浮世絵からアニメまで」と付けられている。期間は2月19日から8月9日まで。企画者はジュリアン・バミューダとデボラ・ディーコン。

◎第1回国際日本庭園会議(日本以外の庭園を対象)(P8)

日本庭園は世界53カ国で造られていることが確認されている。北米には約250の日本庭園がある。日本庭園関係者を集めた初めての国際会議が、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の主催で、3月26日から29日まで同大学内のアール・バーンズ・ミラー日本庭園を中心に行なわれる。

記事に添付の写真は、上段左からオーストラリアのコアラ庭園、イリノイ州ロックフォードのアンダーソン庭園、カナダ・ケベック州ホールのカナディアン美術館。下段はロングビーチのアール・バーンズ・ミラー庭園。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

カルチュラル・ニュースは、ロサンゼルスの人達に日本文化を伝えるために、毎月6000部を発行しています。

年12回、8ページのタブロイド新聞を発行するために、年間約6万ドル(約600万円)かかります。この6万ドルの収入を確保するために購読1000部(25ドルx1000部=2万5000ドル)をめざしています。今まで500部の購読を確保しています。現在の購読者が、一人、新たな購読者を紹介していただくことができれば、1000部の購読が実現します。

<購読の申込>

購読者を増やすことに協力してください。アメリカ国内の購読は年間25ドルです。アメリカ以外、日本、ヨーロッパ、オーストラリアなどへの年間購読料は60ドル(日本では6000円です)。


日本での購読料は、1年間6000円です。

送金先は、日本に開いています郵便振替口座へ送ってください。
口座名: カルチュラル・ニュース日本支局
口座番号:00220-0-45054

<広告の申込>

カルチュラル・ニュースは、ロサンゼルスで日本文化を伝える唯一の専門誌として美術館、大学、政府機関から高い評価を受けています。日本文化をテーマにした広告(着物販売、邦楽コンサートなど)がありましたら、ぜひカルチュラル・ニュースに申し込んでください。他の出版物に比べると、安い料金で、大きな宣伝効果をあげることができます。1/4ページの大きさの広告で1回240ドルです。

購読と広告の申込は
Cultural News
P.O. Box 48678, Los Angeles, CA 90048 USA
higashi@culturalnews.com
(213) 819-4100

<寄付のお願い>

年間約6万ドルの予算に対して、購読と広告の収入見込みが約4万ドル。日本文化紹介の事業収入が約1万ドル。残り約1万ドルを寄付で集める予定です。金額はいくらでも、けっこうですから、カルチュラル・ニュースを発行するために、寄付をお願いします。カルチュラル・ニュースの制作は、実質、東繁春がひとりでやっています。東繁春ひとりの力では、続けられません。みなさんの援助をお願いします。

文化を紹介する仕事では、金儲けはできません。細く長く、地道に続けて行くしかありません。

カルチュラル・ニュースは1998年7月に東繁春が創刊しました。2001年までは東繁春の個人事業でしたが、911事件で東繁春が生活費を得る仕事を失った際に、東繁春の支援者から寄付が集まり、その総額が8000ドルとなりました。この8000ドルを資本金として2002年6月に Cultural News, Inc (カルチュラル・ニュース社)をカリフォルニア州法の下で設立しました。その後株主数は、1株500ドルの出資で約40人になっています。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

カルチュラル・ニュースを発行するための寄付 (送金用紙)

寄付者名:

住所:

電話:                           Eメール

カルチュラル・ニュースを応援します。

       (   )   500ドル
       (   )  1000ドル
       (   )  2000 ドル
       (   )  3000ドル
       (   )  4000ドル
       (   )  5000ドル
       (   )  ____ドル (いくらでもけっこうです)

送金先: Union Bank of California, Little Tokyo Branch
      120 S San Pedro Street
Los Angeles, CA 90012
口座番号: 1020033564
口座名: Cultural News, Inc.
[PR]
by culturalnews | 2008-10-30 03:45 | 月別の日本語要約
◎民藝イースト・アンド・ウエスト(1ページから6ページ)

パサデナのパシフィック・アジア美術館では6月6日から、来年1月6日まで、常設の日本ギャラリーで「民藝イースト・アンド・ウエスト」展を開催している。

民藝は、1927年に学者であり美術評論家の柳宗悦が言い出した言葉で、無名の職人が作り出す、工芸品に芸術的価値を認める、という考え方だ。じつは、この民藝の考え方は、柳が独自に発想したものではなく、柳がイギリスに滞在中に見聞した英国での芸術工芸運動に触発されている。

そして20世紀前半に始まった、日本の民藝運動は、アメリカにも影響を与え、カリフォルニアで活躍した有名建築家グリーン兄弟の建築に、民藝を見出すことができる。「民藝イースト・アンド・ウエスト」は、濱田庄司の陶器(1ページ写真)など日本の民藝的作品とカリフォルニアの民藝的作品を同時に見せている。

展示は4つのセクションに分かれていて、そのテーマは、日本とカリフォルニアの美術工芸運動、民藝、新民藝、民藝と戦後のアメリカン・セラミック。

入場料は大人7ドル、学生5ドル。

◎人間国宝の琉球古典音楽奏者・照喜名朝一氏がロサンゼルスで公演(2ページ)

10月26日にロサンゼルスで行われる照屋勝子師匠の琉球筝曲40周年記念「琴虹」コンサートに、沖縄から人間国宝に指定されている琉球古典音楽の三線(さんしん)奏者・照喜名朝一(76歳)が出演する。

照喜名氏は、1932年に沖縄・知念村に生まれ、1957年から安富祖(あふそ)流の宮里春行に師事。1977年に師範免許を受ける。舞踊、組踊、芝居などの地謡として活躍しながら、創作や独演会などと活動の幅が広いことで知られている。

1994年には安富祖流絃声会・会長に就任し、会員の音楽指導に尽力した。2000年に国指定重要無形文化財琉球古典音楽保持者(人間国宝)に認定されている。

照喜名氏は、門下生から、琉球古典音楽の手本としてだけではなく、同時に精神的指導者として慕われている。最近行なわれた師範免許試験は、沖縄から22名が受験したが、同時にハワイからの3人のアメリカ国籍者が受験し、合格した。そのハワイ在住者のひとりジュン・ナカマは「照喜名先生は三線の勉強は、本人の才能が30%、しかし、残り70%は本人のやる気である、と説明しています」と紹介している。師範免許に合格した3人のハワイ在住者も、沖縄文化を学びたい、という動機が練習の理由になっていた。

10月26日のコンサートでは安富祖流絃声会ハワイ支部を率いて、野村流音楽協会北米支部、野村流古典音楽保存会北米支部、琉球筝曲興陽会と「稲まづん節」「早作田節」を演奏する。演舞者は宮城流二代目家元宮城能造。


◎ヒロシマ・ナガサキの原爆ポスター展がアリゾナ州で行なわれる(2ページ)

広島市と長崎市から提供される原爆投下の惨事を描いたポスター展が10月20日から11月14日まで「ヒロシマ・コーリング」と銘打ってアリゾナ州で行なわれる。アリゾナ州で太鼓演奏や日本文化紹介の仕事をしているシンガー・ソングライター小塩賢と世界青年交流協会の主催。

また、この展示会に合わせて、自らも被爆者で、広島市中区の胡子神社に伝わる奉納太鼓の継承者宗像修(むなかた・いつき)さん、71歳もアリゾナを訪問して小塩賢といっしょに太鼓演奏会を開く。

ポスター展の開催場所
10月20-24日フェニックス市役所
10月31日-11月7日 ノーザン・アリゾナ大学(所在地=フラッグスタッフ)
11月3-6日アリゾナ州立大学フェニックス・キャンパス
11月7日フェニックス市モアー・ギャラリー
11月10-14日テンピ市内アリゾナ歴史協会博物館(フェニックス市の隣)
太鼓演奏会
11月7日ノーザン・アリゾナ大学(所在地=フラッグスタッフ)
11月14日テンピ市内アリゾナ歴史協会博物館


◎日本の博物館紹介:江戸東京たてもの園(小金井市)(2ページ)

江戸東京たてもの園は、1993年に開園した野外博物館。都立小金井公園の中に位置し、敷地面積は約7ヘクタール、園内には江戸時代から昭和初期までの、27棟の復元建造物が建ち並んでいる。現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示することが目的。

この中には、総理大臣を務め、226事件で暗殺された高橋是清の私邸がある。高橋是清はこの私邸の2階で暗殺された。また、三井財閥の三井八郎右衛門邸も移築されている。アニメ作家宮崎駿が「千と千尋の神隠し」を制作したときのアイディアを得たという銭湯・子宝湯も保存されている。

この日本の博物館紹介記事は、東京大学教養学部の特任講師の板津木綿子(いたつ・ゆうこ)さんからのレポート。

◎アメリカ人の太鼓グループ・メンバーがコンサートで、長唄三味線の名取を披露(3ページ)

日本で邦楽を修業したアメリカ人で作る太鼓グループ「オン・アンサンブル」が11月8日にロサンゼルス・リトル東京のアラタニ日米劇場で「よぶ」コンサートを行うが、その舞台で、メンバーのひとり、クリス・バーグストロームの長唄三味線の名取披露が行なわれる。

アラタニ日米劇場でのオン・アンサンブルのコンサートは、今年で5年目。メンバーはソロでも活躍しており、ショージ・カメダは、最近、デンバーで行なわれた大統領候補選出の民主党大会で、スティービー・ワンダーと供に出演した。マサト・ババは別のグループ「太鼓プロジェクト」とともに、メキシコ公演を行っている。

バーグマンは、北海道・函館の杵屋勝ユキエ師匠の弟子で、11月8日のコンサートには、日本から杵屋師匠も駆けつける。

◎琉球筝曲師匠の40周年を祝う琉球音楽と舞踊コンサート(3ページから7ページへ)

琉球筝曲の照屋勝子師匠の40周年を祝う「琴虹」コンサートが10月26日(日)午後1時からレドンド・ビーチ・パーフォーミング・アーツ・センターで行なわれる。主な演目は次のとおり。

清屋節(ちゅらやぶし)庭に育てた芭蕉で真っ白な糸を作り、布を織り、大切な愛しい方へさしあげたい、という内容。

上り口説(ぬぶいくどぅち)下り口説(くだいくどぅち)王朝時代に王の使者が薩摩に遣わされたときの道中の風物を歌った歌曲に振りがついた。上り口説は使者の往路、下り口説は帰路の情景である。

踊り(うでぃ)くわでいさ(四つ竹)身分の高い人たちが並んでいる、立派なお屋敷に、今日は四つ竹を鳴らしながら踊ることは、何と晴れがましいことであろう。小さな竹をふたつづつ両手に持て鳴らしながら踊るので、別名「四つ竹」と呼ばれている踊り。華やかな紅型、蓮の花を象徴する笠が優雅な舞台を作り出す。

仲里節(なかざとぶし)男女の打組み雑踊り。聞けば仲里や花ぬ本でむぬ 咲ち出らば一枝持たち給ぼり-聞けば仲里は、花どころと聞いております、開花爛漫になったら、一枝わたしにくださいませんか-と謡われる若い恋物語の舞踊。

四季口説(しちくどぅち)扇子を持った若衆の可愛い踊り。春、夏、秋、冬の情景を謡っている。囃子を舞者が唱えるところがみどころ。歌詞は日本語で謡われる。

◎ロサンゼルスのジャパニーズ・レストラン協会がジャパニーズ・フード・フェスティバルを開催(3ページ)

ロサンゼルス地区の日本食レストラン経営者で作るジャパニーズ・レストラン協会(JRA)が、恒例のジャパニーズ・フード・フェスティバルを、10月26日午前11時から午後3時まで、リトル東京の京都グランド・ホテルで開催する。チケットはひとり50ドルで、食べ放題、飲み放題。入場者は700人限定。

日本食や日本酒の多様性をアメリカ人に紹介することが目的で、京都グランド・ホテルの催し物会場と日本庭園にブースが並ぶ。寿司職人が技を競うコンテストや40フィート(12メートル)の巻き寿司(メガロール)作りも行なわれる。

◎ディスカンソー・ガーデンで日本庭園フェスティバル(3ページから6、7ページへ)

ロサンゼルス・カウンティが運営するディスカンソー・ガーデンで、恒例の日本庭園フェスティバルが11月1、2日に行われる。

生花展示:草月流ロサンゼルス支部から北島蓉幸グループが担当する。
満月茶屋:正午から午後4時までお茶が提供される。予約が必要。
太鼓演奏:チノ・ヒルズのキシン太鼓が出演する。
日本スタイルの本作り:ブック・アーティスト、ウエンディー・ポマの指導で、土曜日のみ、午後1時30分から4時まで、30分おきにクラスが開かれる。
日本舞踊:藤間勘須磨社中の踊りが披露される。日曜日の午後2時から30分間のみ。
菊展示:日本庭園フェスティバルに合わせて開催されるディスカンソー・ガーデンの菊展示はディスカンソー菊協会とグレンデール菊協会が主催。午前9時から午後4時30分まで、展示とセールも合わせて行なわれる。

◎ベンチュラ・カウンティーで日本文化デー(3ページ)

ベンチュラ・カウンティーJACL(日系市民協会)が主催する第18回日本文化デーがカマリロ・コミュニティー・センターで10月12日午後1時から4時まで行なわれる。入場料は大人ひとり7ドル。

◎プライス・コレクション・アンコール展の見学会(3ページ)

6月から9月半ばまで、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)で行なわれた江戸時代中期の日本画を集めたプライス・コレクションは、約5万人の入場者を集めた。このコレクションの所有者プライス夫妻が「もう二度とこのような展示はできない」と言うほどのプライス・コレクションの余韻を味わえる「プライス・コレクション・アンコール展」が9月20日から、ロサンゼルス・カウンティ美術館で開かれている。

今度の展示は、LACMAの日本館でのみ行なわれ、丸山応挙(まるやま・おうきょ)を創始とする丸山四条派の花鳥画、や曾我蕭白(そが・しょうはく)が中心。

カルチュラル・ニュースでは、10月25日(土)午後2時からアンコール展の見学会を、ジョー・プライス氏と夫人の悦子さんの解説で行なう。

参加費はひとり15ドル(LACMA入場券を含む)。定員は先着30人。参加希望者は、15ドルの小切手を Cultural News, P.O. Box 48678, Los Angeles, CA 90048 まで送ること。子供・シニア料金はなし。

◎ロサンゼルス源氏物語フェスティバルが州立大学などで行われた(4ページ)

カルチュラル・ニュースが徳島の四国大学児童教育学科の世羅博昭教授と協力して、源氏物語を原文で読む勉強会と、アメリカ人に平安時代の衣装を見てもらう「ロサンゼルス源氏物語フェスティバル」が9月21日から28日まで行われた。

平安時代衣装は、徳島の瀬尾静子きもの学院(瀬尾静子学院長)が衣装を提供し、同学院の着付け講師10人と瀬尾学院長が、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校、パシフィック・アジア美術館、オキシデンタル大学、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校内の日本庭園で披露した。時代衣装のモデルは、現地の大学生が務めた。

また、州立大学に来ている日本からの留学生の感想は、日本の中にいては、日本文化と接する機会がなく、アメリカで初めて日本の歴史や文化を知ることができた、と感想を述べるひとが多かった。

カリフォルニア州立大学ノースリッジでは、日本語と日本文学を教えている廣田昭子教授が平安時代の衣装レクチャー・アンド・デモンストレーションを準備し、また同大の学生が平安時代の衣装を付けて、「源氏物語」の一章「末摘花」の巻きを寸劇にして英語で上演した。

◎ミスター豆腐と呼ばれた男(5ページ)

日本の農林水産省は3年まえから、日本産の農産物の海外販売促進に貢献した個人の表彰を始めている。今年は世界各地から5人が選ばれ、6月20日に東京で大臣による表彰式が行なわれた。

ペルー、ドイツ、香港、サンフランシスコからの表彰者と供に、ロサンゼルスからは森永ニュートリション・フードの元社長、雲田康夫氏が表彰を受けた。

雲田氏は、現在、ロサンゼルス(ガーデナ)でコンニャク製造販売のフレック・フーズの会長、経営責任者をしているが、1985年の渡米以来、定年退職するまで、森永豆腐をアメリカで販売する仕事に携わってきた。

森永の豆腐は、無菌包装パケッジに入っているのが特徴で、現在では、全米のスーパー約14,000店舗、全米のスーパーの約42%で販売されている。無菌包装技術は森永乳業が1979年に開発したが、日本国内での無菌包装パケッジの豆腐の販売は、既存の豆腐販売業の反対に遭い、販路を海外に求めざるを得なかった。一時、中東で石油開発に従事する韓国人からの需要が伸びたが、やがて韓国企業が豆腐を供給することになり、新規マーケット開拓の必要があった。

雲田氏は、当時、森永乳業の新製品開発部門に配属されており、アメリカでこの無菌包装パック豆腐を販売する企画を作った。それが、森永乳業社長の目に留まり、雲田氏自身が社長としてロサンゼルスに派遣され、森永ニュートリション・フードが設立された。

当時のアメリカでは豆腐の原料となる大豆は、家畜飼料としてか考えられておらず、食品のイメージに遠かった。また、日本では一般的な冷奴の食べ方も、醤油の塩味が高血圧につながると心配され、健康食品としても扱われなかった。

しかし、雲田氏に転機が訪れ、アメリカで豆腐が売れる確信を得たのは、ある日、ロサンゼルスの高級スーパーでアメリカ人の夫人がたくさん森ニュー豆腐を買うところを目撃したことだった。この夫人に、豆腐の食べ方を尋ねたところ、果実といっしょにミキサーに入れて、フルーツ・シェイクを作る、という答えだった。

この夫人の食べ方から学び、店頭デモで、豆腐と果実をミキサーで混ぜることを始めたところ、アメリカ人に関心を掴むことができるようなった。

また、雲田氏は、ロサンゼルスの日本語ラジオに出演したり、日本語週刊紙に寄稿することで、ミスター豆腐のニックネームをつけられるようになり、雲田氏が書き溜めた原稿は、光文社から『豆腐バカ、世界に臨む』の題名で出版された。

雲田氏は、現在、フレック・フードの経営をする傍ら、年2回は、名古屋の中京大学の客員教授として国際ビジネスを教えている。雲田氏は、常に若者の手本になるような行動を心がけている。

◎インスピレーション、日本発:京都グランド・ホテルの新メニュー(5ページから6ページへ)

昨年、リトル東京のニューオータニ・ホテルを買収して、改称した京都グランド・ホテル・アンド・ガーデンは、今年6月から新支配人と総料理長を起用している。総料理長となったマーティン・ギリガン氏は、ニューヨーク出身で、ニューヨークの一流ホテル、プラザ・ホテルやフォーシーズン・ニューヨークで経験を積んでいる。

コードンブルーなどの調理師学校で、教えた経験も、持っている。

ニューヨークの調理師学校で勉強をしていたときに出会った、大阪出身の橋本アユミから日本料理を習ったことが、日本料理を知るきっかけになっている。

今月のお勧めメニューは、蒸すときにお茶のパウダーを入れることが特徴の「ティー・スティーム・ギョウザ」。このメニューは実際に、京都グランド・ホテルのアザレア・レストランで食べることができる。レシピーは http://recipe.culturalnews.net で見ることができる。

◎アンディー松田の寿司職人学校のコラム(5ページ)

寿司シェフ・インスツチュートの校長アンディー松田さんは、自分の学校で、寿司職人の養成をするだけではなく、日本食のPRのために、頼まれればどこへでも、出かけて行く。10月25日にリトル東京で、行われるジャパニーズ・フード・フェスティバルでも、寿司職人コンテストの段取りを作ったり、40フィートの長さのメガ・ロール・イベントの準備をしている。

アメリカは、経済が悪くなり、これから多くの失業者が出そうだが、失業者のための再就職トレーニングや、職業訓練プログラムの中に、寿司職人の養成を入れることが必要だとおもう。

◎軍事アナリスト神浦元彰の日本レポート「麻生選挙管理内閣の役割」英訳=アラン・グリーソン(6ページ)

福田首相が突然辞任を発表して、次の自民党の総裁に5人が名乗りをあげた。しかし、当初から麻生氏の絶対優勢が報じられた。麻生新首相の役目は、今年中にも衆議院を解散し、総選挙を行うことである。自民党は小泉元首相が総選挙で大勝して以来、国民から選挙の洗礼を受けないで、安倍、福田両首相が政権を継承した。しかし、好転しない不況ムードで、安倍、福田内閣の支持率は下がり、両政権ともに、1年という短い期間で首相の座を逃げ出した。

そのやり直し総選挙を麻生新首相が行うことになった。秋の臨時国会で、麻生首相は衆議院の解散を宣言するだろう。
野党である民主党の小沢総裁は、次の総選挙で、与党と野党が逆転することに政治生命をかけると誓った。自民党が2005年9月の総選挙で大勝したのは、小泉人気が吹き荒れたためで、今回の総選挙では当選議員の激減は避けられないという予測が一般的だ。

自民党は、その不利な情勢を多少でも挽回するために、麻生首相を自民党の新総裁に選んだ。麻生氏の明るい性格が、若者たちの好感度が高いとからという。

国民は麻生新内閣の顔ぶれで、福田辞任から続く自民党の動きが、森元首相によって書かれた総選挙のための巧妙なシナリオ通りだと気がつくだろう。小泉、安倍、福田政権を誕生させたキングメーカーの森元首相である

◎カリフォルニア中部のハンフォードにあるクラーク・センター日本美術研究所の秋の展示「動物画の秘められているアジアのシンボリズム」9月2日から11月15日まで(8ページ)

クラーク・センターの秋の展示は、動物の絵をテーマとした日本画。亀、孔雀、虎、蛍など、アジアで共通に理解されている動物の持つシンボリズムを、アメリカの鑑賞者に紹介する展示会。

10月号の写真は、岸狗(がんく、1749/56-1839)作の「龍と虎」の対になった屏風絵。岸狗は1827年に京都・東寺に「龍と虎」の対の屏風絵を納めたことが記録されている。この写真の屏風は、その時と同じ絵柄の屏風を描くことを何回も依頼され、そのうちのひとつと推測されている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

カルチュラル・ニュースを購読してください。また、日本文化を紹介する広告がありましたら、カルチュラル・ニュースに申し込んでください。

カルチュラル・ニュースは月刊8ページのタブロイド新聞です。カルチュラル・ニュースの編集、広告営業、配達、ホームページ更新のすべての仕事は、東繁春がほとんど、ひとりでやっています。この新聞を出し続けるために年間約6万ドルかかります。東ひとりの人件費を抑えても、最低6万ドルはかかります。

2008年もあと、わずかとなりました。今年の売上目標を達成するために、あと約100万円の売上が必要です。協力の方法は、個人購読、グループ購読、広告掲載、寄付などです。


アメリカでの定期購読

アメリカ国内では、1年間、25ドルです、小切手の宛先は 
Cultural News, P.O. Box 48678, Los Angeles, CA 90048, USA


日本での定期購読 

日本での購読料は、1年間6000円です。

送金先は、日本に開いています郵便振替口座へ送ってください。
口座名: カルチュラル・ニュース日本支局
口座番号:00220-0-45054

購読申込用紙

氏名:____________________________________________

住所:___________________________________________________________

Eメール:________________________ 

電話:________________

問合せは (213) 819-4100、higashi@culturalnews.comへ
[PR]
by culturalnews | 2008-10-21 13:23 | 月別の日本語要約
2008年10月5日  東繁春から 那須さんへ

<出品作品はすべて完売した>について質問があります。

わたしも、このロンドン、パリ博覧会での浮世絵の紹介が、日本と世界の関係を考えるときに、とても重要な出来事だと思います。

わたしが、目にした文章や学者から聞いた話では、浮世絵は、博覧会に出展される陶器の包み紙として使われ、ヨーロッパ人たちは、その包み紙に芸術性を見出し、驚いたことになっています。

ロンドン、パリ万博で、浮世絵が販売の対象となり、売却されたという話の出典を教えてください。
ヨーロッパ人が、浮世絵の美術的価値を見出し、屑紙(浮世絵)を捨てずに、その博覧会で売ってしまった、という解釈も成り立ちますね。仕入値がタダですから、ボロ儲けです。

なぜ、わたしが、この経緯にこだわるか、というと、「日本文化と世界の関係」を見ていると、ひとつの法則があるように思えるからです。

それは、日本人が文化を捨てたとき、地球上のどこかで、それを拾ってくれるひとたちがいる、ということです。
浮世絵は、その一番目の例になると、思われます。つまり、結果的にロンドン、パリ万博で浮世絵が世界に知られ、人気がで、ヨーロッパの芸術家に大きな影響を与えましたが、それは、日本人が意図したものではなかった、ということです。

日本人と浮世絵の関係を見れば、陶器の包み紙に使ったのですから、浮世絵を芸術品としてパリ博覧会に出品したのではないことは、明らかです。むしろ、浮世絵は、芸術品としての価値はない、という判断が徳川幕府の輸出担当役人にあって、陶器を引き立たせるための小道具として使われたのだと思います。(あるいは商人が勝手に入れたのかもしれません)

極貧のゴッホが浮世絵を所有してたのですから、ヨーロッパで販売された浮世絵の価格は、美術品と言えるレベルの価格ではなく、お土産物品レベルの価格ではなかったか、と想像します。

明治維新の廃仏毀釈で、国宝級の仏像が海外に流出したことも、結果的に日本文化をヨーロッパに紹介しています。また、最近のジョー・プライス夫妻の伊藤若冲コレクションも、日本人がすっかり若冲を忘れ、若冲の値段が下がっていたことが、外国人コレクターが集めることができるきっかけとなりました。

こう考えていくと、日本文化は、すでに日本人だけのものではなく、世界のひとびととシェアーしなければ、ならない存在になっていると、わたしは、思うのです。日本文化の価値を外国人がよく知っていて、日本人が忘れている、というのが、リアルなありようではないかと、思います。

---------------------------------------------------

2008年10月5日 香川県観光振興課の那須です。

 おはようございます。お世話になっています。
毎週月曜日のメールです。よろしければご一読ください。

●私たちが忘れかけているもの

 前回、今年は、1858年に、井伊直弼率いる日本と、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ロシアの5カ国との間に大幅な治外法権、関税自主権の喪失などを内容とする不平等条約が締結されて150年目を迎え、特に日本文化の大好きなフランスでは、それを日仏交流150周年として、様々な交流イベントが実施されていることをお伝えしました。

 そして、パリセーヌ川畔に、日本の絵画作品を投影する大規模な光のショーが盛大に開催されたこともお伝えしました。

 今回は、如何に素晴らしい日本の伝統的な美が西洋諸国の思想や一流品に多大なる影響を与えたのか、お話します。

 日本の素晴らしい伝統的な美が西洋の美に影響を与えたのは、江戸時代初期の古伊万里磁器の輸出に始まったと言われています。

 16世紀までは、オランダの東インド会社を通じて、中国の磁器がヨーロッパに輸出され、シノワズリーが大流行していました。いわゆる中国趣味です。そして、磁器の焼成技術は、
当時は中国や韓国が格段の差で上回っていました。

 1644年に清が中国を統一、しかしその後数十年内乱が続き、中国からの大量の磁器輸入が困難になってきてからは、韓国や日本に目が向けられ、特に古伊万里磁器は、その焼成技術の高さや左右非対称や余白の美しさなどのデザインの素晴らしさでヨーロッパで大人気となりました。

 その後、古伊万里磁器の例えば唐草文様などは、ヨーロッパの近代デザイン革命であり
生活の芸術を持ち込む「アーツアンドクラフト運動」に大きな影響を及ぼし、1878年のパリ万国博覧会においても、フランスを代表するセブール社や、バカラ社のクリスタルランプなどもこぞって日本風意匠をまとっていました。

 その後、アールヌーヴォーやさらにはNYのティファニーなどにも多大なる影響を及ぼし、
「ルイ・コンフォート・ティファニー」の銀製品などを産み出しています。こういう風に整理してくると、いまさらながらに、改めて日本の伝統美のすごさを痛感します、

 浮世絵も同様で、1862年の第4回ロンドン博覧会、1867年の第4回パリ博覧会出品で、大ブームとなり、出品作品はすべて完売したそうです。それがきっかけとなり、浮世絵がヨーロッパ各地で紹介され、ミレーやルソーなどのバルビゾン派、ご存知、モネ、ドガ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、ゴーギャン、ロートレック、クリムトなどの日本人が殊の外大好きな印象派に大きな影響を与えました。
 
 非対称、中心をずらした構図、平面性、隈取り、色彩などあらゆる点に影響を及ぼしたのです。ゴッホは、はっきりと自分の絵の基礎は浮世絵と言い切っています。

 浮世絵も江戸時代では、庶民が楽しんだサブカルチャーの一つだと私は思っています。
また、古くは、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」、北斎の「北斎漫画」など日本が世界のアニメブームを牽引している原動力が実は歴史的にも実態として証明されます。それぞれの時代に残る縁起絵巻なども、巧みな絵画技巧とストーリー性は、ルーツのひとつと思うに立派な根拠となり得ると思われます。

 これを機会に日本の伝統的なものを見直すべきだと思います。そして、私たちの祖先は、いつの時代も自然を大切にしてきました。そして、自然に生かされていることへの感謝の念、この気持ちこそ、私たちが忘れかけている大切なことだと思われます。
[PR]
by culturalnews | 2008-10-09 19:25