英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


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日本に魅了されたアメリカ人画家ロバート・クラウダー(4ページに続く)

現在94歳、ビバリーヒルズで日本画を描き続けているロバート・クラウダーは、日本に魅了された画家である。イリノイ州ベスニーで生まれ、東イリノイ教員養成学校を卒業したクラウダーが、初めて日本に行ったのは1934年のことだった。ピョンヤンにあるアメリカ人宣教師の子供たちの学校で、教師をするためだった。ピョンヤン時代は、学校の休暇を利用して、台湾や日本を旅行した。

1936年、ピョンヤンでの2年間の教職契約が終わると、クラウダーは、東京に行き、日本画家、望月春江(もちづき・しゅんこう)に師事した。生活の糧に英語を教えているうちに、熊本第五高等学校(現在の熊本大学)の英語教師になることができ、1939年夏から、1941年12月の、日米戦争の勃発まで、熊本で生活した。

戦時中は、敵性外国人として、刑務所や収容所に入れられた。1943年9月、捕虜交換船で日本を去った。インド・ゴアで、アメリカ側に引き渡され、アメリカに帰国後は、シカゴの花屋で働きながら、日本画を描き続けた。

日本と戦争しているにもかかわらず、クラウダーの日本画はシカゴで売れ始めた。買い手はカリフォルニアにいた。1946年、クラウダーは、ロサンゼルスに移り、画廊を開いた。ビバリーヒルズの映画スターたちが、好んでクラウダーの日本画を購入した。ビバリーヒルズで、日本画、屏風絵を描いて、成功したクラウダーは、しかし、二度と、日本を訪れることはしなかった。クラウダーの日本は、永遠に彼の心の中に、生きているからだ。

クラウダーの屏風絵は、2002年にロサンゼルスの日米文化会館ドイザキ・ギャラリーで展示された。クラウダーは、日本画のほかに、織物工房も持っており、ここで作られた布地は、シャネルのような高級品販売店が、店内で使うソファの素材として使っている。

クラウダーは、今でも、毎日、12時間から14時間は、絵を描き、詩を作っている。最近、英文詩集「ブルー・フロシキ」を自費出版した。

日本での生活は、すばらし思い出ばかりだった。刑務所や収容所に入れられても、不幸だと思ったことはなかった、とクラウダーは日本を回想している。

(英文記事は、フリーランス・ライター中山健が担当)

写真(1ページ):ビバリーヒルズの自宅の、ロバート・クラウダー
写真(4ページ):クラウダー作の「朱鷺」の屏風絵のパート(一部)。高さ5フィート6インチX 横幅12フィート2インチ

(編集者注):クラウダーの日本語自伝『わが失われし日本-五高最後の米人教師』が、1996年、福岡市の葦書房から出版されている。英文自伝は、未刊行)

デイスカンソー・ガーデンの日本庭園フェスティバル(4ページに続く)

ロサンゼルス・カウンティーが運営しているディスカンソー・ガーデン内(所在地は、ロサンゼルスの北郊外、ラキャナダ・フリントリッジ)の日本庭園で、恒例の日本庭園フェスティバルが11月5、6日の土、日曜日に開催される。日本庭園内には、茶室の入った建物や「民家」が作られている。

展示は、水石、生花展示(草月流)、草月流グループ蓉幸会主宰・北島蓉幸氏による生花の実演、キシン太鼓の演奏と写真撮影、折り紙の実演、小幡レイコと滝田キョウコによる琴演奏、藤間勘須磨会による日本舞踊。

写真(1ページ):藤間勘須磨会の踊り子

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「ジャングル大帝」アメリカ版デビュー40周年、11月10日

漫画家・手塚治虫のアニメ「ジャングル大帝」の英語吹き替え版が作られて、40年目にあたる11月10日に、グレンデール中央図書館で、記念イベントが行われる。「ジャングル大帝」は「白いライオン・キンバ」の題名で英語版がニューヨークで作られた。当時、制作に携わったプロデューサーのフレッド・ラッド氏は、現在、ロサンゼルス郊外のウッドランド・ヒルズに住んでおり、今回のイベントを企画した。主催は、アニメの国際協会である「ASIFAハリウッド」。

恒例のジャパン・エクスポは、11月19、20日(6ページに続く)

詳細は6ページに掲載 

太鼓奏者ケニー遠藤の全米ツアーが始まる、最終公演は、11月20日のリトル東京(5ページに続く)

ホノルルを拠点に、日本、米西海岸で活躍している太鼓演奏者、ケニー遠藤が、自らの演奏活動30周年を記念して、日本と西海岸から一流の演奏者を選りすぐって全米ツアーを始める。10月14日から21日までは、ハワイ島の各地で公演、10月25日から11月7日までノースカロライナ州、バージニア州、メリーランド州、メイン州、ニューヨーク州を回り、11月20日のリトル東京、アラタニ日米劇場での公演が最終スケジュールになる。

出演は、東京からノミ・ヨシノリ(元東京キューバン・ボーイズ)、ビブラフォン演奏者・浜田ヒトシ、西海岸から、ロサンゼルスの尺八演奏家・吉沢政和、サンフランシスコの琴演奏家・ヒカゲ・ショーコが参加する。今回の公演バンドには「イースト・ミーツ・ウエスト」アンサンブルという名前が付けられている。

女性3人による太鼓、踊り、語りのパーフォーマンス、11月5日(4ページに続く)

新潟県佐渡の太鼓グループ「鼓童」のメンバー藤本容子と、サンノゼ太鼓の主宰者PJ平林、ロサンゼルスの女優ノブコ宮本の女性3人による公演「トライアングル・プロジェクト-タンポポの旅」が、11月5日午後8時から、リトル東京のアラタニ日米劇場で行われる。

太鼓、踊り、唄、語りを通して、困難に耐えて希望を求めていく過程を、きびしい自然の中で育っていくタンポポになぞって表現する。藤本容子は、声を通じて、人と繋がり、響き合うことを目指した「ヴォイス・サークル」を主宰している。

ニューオータニ・ホテルで雅楽、10月17日

ロサンゼルスのニューオータニ・ホテルの日本庭園で、10月17日、午後8時から1時間、雅楽の演奏が行われる。元宮内庁の雅楽団のメンバーで、UCLA民族音楽部で30年にわたって雅楽を教えていた東儀季信(とうぎ・すえのぶ)氏の指導のもとに、ロサンゼルスの緊那羅雅楽が演奏する。無料。

訂正

2005年9月号、6ページの「日本語教師が協会を作る」の記事の中で、「TJSCが、南カリフォルニアにおける唯一の日本語教師の会」というのは、誤りでした。他にも、教師会がありました。また、TJSCの勉強会の日程は、10月6日ではなく、11月6日でした。

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高齢者団体のためのチャリティー・コンサートで、ボストンのジャズ・ピアニストとロサンゼルスの琴演奏者らが共演、11月12日

社会福祉NPO「敬老シニア・ヘルスケア」の2000万ドル基礎基金募金活動の一環として、ボストンのバークリー音楽大学教授で、ジャズ・ピアニストの竹中真のチャリティー・コンサートが11月12日午後2時からトーレンス市内のエルカミノ大学マーシー劇場で行われる。

地元ロサンゼルスから、琴の粟屋陽子、指笛の松島めみ、生花の北島蓉幸の3人が参加し、それぞれが、竹中のピアノと共演する。今回の竹中真チャリティー・コンサートは3回目で、7月に逝去した敬老引退者ホーム理事・妙中俊彦氏の追悼コンサートも兼ねている。チケットは、自由席のみで30ドル。

知的障害者による石見神楽と太鼓の演奏、日本からのグループがロサンゼルスで、12月3日

島根県金城町の福祉施設「桑の木園」の知的障害者による石見神楽と、長崎県雲仙市の福祉施設「コロニー雲仙」の知的障害者による太鼓グループ「瑞宝太鼓」の公演が、12月3日午後2時と5時の2回、リトル東京のアラタニ日米劇場で行われる。チケットは24ドル。

石見神楽の公演では、「大蛇」(やまたのおろち)ほか、計2演目が披露される。桑の木園の神楽グループは1985年に発足、演技レベルは高いと評価されている。

瑞宝太鼓は、2001年からはプロとして活動を行っており、スペイン、シドニーのパラリンピックで演奏している。

竹籠と小原流生花の展示、10月1日から23日まで(6ページに続く)

栃木県大田原市の竹工芸家・藤沼昇の竹籠40点と小原流ロサンゼルス支部の生花展が、10月1日から23日まで、リトル東京の日米文化会館ドイザキ・ギャラリーで開かれる。藤沼の竹細工はサンフランシスコのアジア美術館を始め、全米の画廊で展示されている。2000年のコトセン竹細工工芸品コンテストでは最終選考まで残った。小原流ロサンゼルス支部は、創立35年で、会員は約100名。入場は無料。

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日本に魅了されたアメリカ人画家ロバート・クラウダー(1ページからの続き)

デイスカンソー・ガーデンの日本庭園フェスティバル(1ページからの続き)

東京のコンテストに参加する太鼓グループのための募金コンサート、10月8日

10月15、16日に東京・渋谷で行われる第4回東京国際和太鼓コンテストへの出場者に選ばれた、ロサンゼルスの「太鼓プロジェクト」が、東京行きの資金を作るための募金集めコンサートを、10月8日午後8時からロサンゼルスの洗心仏教会で行う。ロサンゼルスから、東京国際和太鼓コンテストへ出場者がでるのは、初めて。

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軍事分析家・神浦元彰レポート「中国が朝鮮半島を併呑する?」(その2)

歴史を見ると、朝鮮やイタリアのような半島国家は、大陸から押し寄せてくるグランドパワーと海洋から押し寄せてくるシーパワーが押し合って覇権を競う要衝となる。今、朝鮮半島では、奇妙なことが起こり始めている。疲弊した北朝鮮に中国の投資が急に増え始め、2004年の投資額は、韓国の2倍に及んでいる。

中国政府は、朝鮮族は中国民族の一部という教育を強化しているが、韓国政府の反発はあるものの、北朝鮮は問題視していない。むしろ北朝鮮は、中国の経済進出を援軍と称え、投資や工場誘致を歓迎している。

中国はメコン川を開発して東南アジアに中国の経済圏を確保した。中央アジアの国とは、イスラム過激派の拡大を防ぐことで同盟を確立した。さらにロシアとは戦略的パートナーとして、軍事関係の強化を急いでいる。最後に残った中国の東に位置する朝鮮半島は、軍事力を頼らず併呑する戦略のようである。これが中国伝統の技である。


日本の最高裁判所が、海外有権者の訴えを認める判決(7ページに続く)

9月14日、日本の最高裁判所は、海外に住む13人の日本国市民から訴えられていた投票権の侵害について、日本国政府の対応が違憲とする判決を下した。原告13人のうち、ロサンゼルスからは6人が参加している。その内容についてジャパン・タイムズ記事の抜粋をする。

1998年の選挙法の改正で、これまで、投票できなかった海外に住む日本国市民も投票できるようになったが、しかし、比例区だけの投票しか許されず、選挙区は投票することができなかった。国側は、海外の有権者に選挙公報を徹底させることはムリと、選挙区選挙ができないことを説明してきたが、今回の最高裁判決は、この国の措置が違憲であると判断された。

海外には約72万人の有権者がいるといわれている。この有権者数は、徳島1区の有権者数の約3倍である。
 
太鼓奏者ケニー遠藤の全米ツアーが始まる、最終公演は、11月20日のリトル東京(5ページから続き)

広告:プリンセス天功のラスベガス公演、11月4、5、6日

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ロサンゼルス市立図書館リトル東京分館が新築オープン  

ロサンゼルス市立図書館のリトル東京分館が、9月8日、新築オープンした。場所は、セカンド・ストリートとロサンゼルス・ストリートの南西角地で、元セント・ビビアン・カトリック聖堂の敷地の一部。日本に関する英語文献は、安田信託日本継承コレクションとして約5000冊が一ヶ所に集められている。

日本語教師の研鑚会、11月6日

TJSC(南カリフォルニア日本語教師の会)は、11月6日午前9時から午後4時まで、シャーマン・オークスのノートルダム高校で、研鑚会を行う。

講師は、ウィスコンシン大学マジソン校の元教授・三浦アキラ氏と、ミシガン州立大学の遠藤ハドソン・ムツコ教授。

恒例のジャパン・エクスポは、11月19、20日(6ページから続き)

今年で26回目を迎えるジャパン・エクスポは、11月19、20日の土、日曜日にロサンゼルス・コンベンション・センターで行われる。入場券は、前売りが一人10ドル、当日が12ドル、11歳以下の子供は無料。

今回の出展は、JTBグループ、工芸家からなる中部インテリア・プランナー協会、東京から浅草仲店商店街、彩オリエンタル美術、寿司職人学校、Eボーグ、ハイパーゲームなど。

今年のジャパン・エクスポは、第二次世界大戦の終戦60年にあたることから、「ピース60」をテーマにし、平和の祈り式典や被爆者の体験談を聞く場所を設ける。

日本食の祭典、10月30日

ロサンゼルスの日本食レストラン協会は、10月30日、ニューオータニ・ホテルで「食の祭典」を行う。チケットは30ドルで、予約のみ。

日米協会の事務所が移転

広告:ニューオータニ・ホテルで、平安の雅楽とお月見の夕べ、10月17日

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日本の最高裁判所が、海外有権者の訴えを認める判決(5ページから続き)

発行人の日記:口コミの威力

新聞を発行している者が言うのも、おかしなことかもしれませんが、もっとも、強力に伝わるには、口コミです。カルチュラル・ニュースのよさを友人や知り合いに伝えていただき、購読を申し込んでもらうよう、読者にお願いします。

パサデナのパシフィック・アジア美術館で、東アジア美術学芸員を務めるメーヤー・マッカーサーさんは、カルチュラル・ニュースは、ロサンゼルスの日本文化を知るために、もっともいい新聞である、評価してくれています。(東 繁春)

プリンセス天功のマジックショー、ラスベガスで、11月4,5、6日

プリンセス天功(引田天功二代目)のマッジクショーが、11月4、5、6日、ラスベガスのキャッシュマン劇場で行われる。

英語俳句

広告:寿司職人学校

広告:デンズ・ティー(日本茶)通信販売

広告:正派若柳流のトーレンス教室

広告:長唄・三味線教室 杵屋弥曽藤子

広告:レストラン 寿司333イースト

広告:シークレット・ローズ劇場

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広告:自然科学博物館のイベント広告、毎月第1金曜日の催し物

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by culturalnews | 2005-10-17 01:02 | 月別の日本語要約
カルチュラル・ニュース 2005年10月掲載 英文記事の日本語原稿

報告=神浦元彰

歴史を見ると、朝鮮やイタリアのような半島国家は、大陸から押し寄せてくるグランドパワーと、海洋国家から押し寄せるシーパワーが、押しあって覇権を競う要衝となる。

ロシアや中国が膨張すれば、朝鮮半島は陸路や海路を使って、容易に海に進出できる地政学上の特徴がある。逆に日本やアメリカのような海洋国家が膨張すると、朝鮮半島は大陸への橋頭堡や進出口になる。

その朝鮮半島で奇妙なことが起こり始めている。すでに北朝鮮では産業インフラは壊滅的にマヒしている。電気はないし、電話網も整備が遅れ回線数も乏しい。また道路や鉄路の輸送力は期待できない。そのような北朝鮮に中国の投資が急に増え始めた。

2000年には年間で4億ドル程度のものが、04年には15億ドルに増加している。これは韓国の投資額のおよそ2倍である。

日本が朝鮮半島を併合して統治したときは、北部にある地下資源を活用し、工業化で開発する植民地政策を行った。そのような地下資源に目を付けた中国が、新しく北朝鮮に工場を建設し、地下資源などの輸入を拡大しているのだ。

北朝鮮に大量の埋蔵量があるといわれる鉄鉱石は、04年は60万トン、05年は100万トンを中国に輸出する契約を結んでいる。必要な茂山鉱山の設備投資では1億元(約13億五千万円)を中国が負担した。

投資や貿易だけではない。中国領内には朝鮮民族が住む朝鮮族自治区がある。かつて、日本の植民地統治を嫌って、中国東北部に逃げてきた人たちだ。その朝鮮族に対して中国政府は、朝鮮族は中国民族の一部という教育を強化している。具体的には高句麗王朝は朝鮮族の古代王朝ではなく、中国に属する王朝であるという歴史観である。

これを拡大すれば、朝鮮族が住む今の朝鮮半島は、古来から中国人が住む中国の領土という解釈が可能になる。これに韓国政府は猛反発しているが、北朝鮮が問題視する姿勢は見られない。むしろ中国の経済進出を援軍と称え、投資や工場誘致を歓迎している。

中国はメコン川を開発して東南アジアに中国の経済圏を確保した。中央アジアの国とは、イスラム過激派の拡大を防ぐことで同盟を確立した。さらにロシアとは戦略的パートナーとして、軍事関係の強化を急いでいる。最後に残った中国の東に位置する朝鮮半島は、軍事力を頼らず併呑する戦略のようである。これが中国伝統の技である。
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by culturalnews | 2005-10-17 00:48 | 神浦元彰の世界の見方