英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


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<   2005年 09月 ( 14 )   > この月の画像一覧

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サンオーキン・バレーの秘宝(4ページに続く)

ロサンゼルスから車で、北西方向へ3時間半、サンオーキン・バレーと呼ばれる広大な農業地帯の中に、忽然と、日本美術を集めた美術館が建っている。カリフォルニア州ハンフォードに作られた「リー日本美術研究所」は、この農業地帯で、乳牛ホルスタイン種の大牧場を営むウィラード・クラーク氏(75歳)が私財をなげうって収集した一級品の日本美術館である。

美術館は、100エーカーあるクラーク氏の敷地の中に作られている。学生時代に建築を学んだこともあるクラーク氏は、自宅や美術館を自ら設計し、日本から松原こうどう氏を呼んで、日本庭園も作った。

1996年にこの美術館が発足したときは、「日本美術研究のためのクラーク財団」という名称だったが、2000年、東洋美術研究で、高名なアメリカ人学者、シャーマン・リー博士の顧問就任で、現在は「リー日本美術研究所」という名称が使われている。

収集作品は、仏像、仏画、中世水墨画、江戸時代狩野派、琳派、文人画・俳画、写生派、浮世絵など幅広い分野を網羅し、所蔵作品は1000点を越えている。また、現代美術の作品もあり、京都の陶芸家フカミ・スエハル氏の作品収集では60点以上を持っている。

カリフォルニア州で生まれて5代目のクラーク氏は、サンオーキン・バレー、ハンフォードの町で生まれ育った。クラーク氏が日本に興味をもったのは、12歳のとき、小学校8年生だった。地理の時間に日本が出てきて、それ以来、日本のとりこになった。カリフォルニア大学バークレー校で、建築を学ぶが、後に学部を変え、カリフォルニア大学デービス校で、畜産を専攻した。

徴兵があったため、海軍士官学校への入学を選択し、士官学校卒業後は、ハワイに配属され、レーダー操縦士として大型偵察機に搭乗、このとき初めて、日本を訪問した。また、ハワイ時代、同じ基地内にある学校で教師をしていたエリザベス夫人と出会い、結婚した。

1958年、ハンフォードに戻り、家庭を築き始めたとき、父親が急死、家業のホルスタイン種の飼育を受け継いだ。当初、350エーカーだった牧場は、1970年代には、4500エーカーに広がり、全米で10指に入る、ホルスタイン飼育業者となった。

また、1970年代のはじめから、種牛の精子を冷凍保存して販売する会社を設立、全米市場の60%をもつ企業に発展させた。この冷凍精子の販売先は、日本を含む世界中の牧畜業者で、仕事のため、日本を訪問する機会が増えるともに、美術品の収集も本格的になってきた。

冷凍精子会社の売却と、牧場売却で得た資産で、現在は、日本美術品を収集することがクラーク氏の日課になっている。美術品の買い付けは、年に4、5回日本へ行く。また、ロンドン、ニューヨーク、ニューメキシコ州サンタフェなどでも、美術品を買うこともある。作品を買う判断は、リー博士の鑑定を参考にすることもあるが、最後は、自分自身が、その作品を購入したあと、楽しむことができるか、どうかで決まるという。

収集した作品が多くなっているため、研究室を含む美術館棟の建築を計画している。

(英文記事は、フリーランス・ライター中山健が担当)

(編注:クラーク氏の集めた日本美術は、2002年から2003年にかけて、日本経済新聞社によって「アメリカから来た日本」という企画で、大阪市立美術館、愛媛県美術館、千葉市美術館などを巡回した。また、同巡回展カタログも日本経済新聞社から発行されている)

1ページ写真説明:木造大威徳明王像。13世紀後半(鎌倉時代)の作品。高さ100.6センチ。


リー日本芸術研究所の新展示「女性こそ美、女性こそ芸術家」(4ページに続く)

カリフォルニア州ハンフォードにあるリー日本美術研究所の秋の展示(9月6日から12月3日まで)は、「女性こそ美、女性こそ芸術家」がテーマになっている。16世紀から20世紀の作品が展示されている。


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シール・ビーチで日米凧揚げ大会、9月25日

日米協会の主催で、シール・ビーチの桟橋付近で、9月25日(日)午前10時から日没まで、日米凧揚げ大会が行われる。東京から、伝統の「江戸子凧」を持って凧職人のとき・みきおさんが参加する。食べ物の出店もある。

写真説明:昨年の日米凧揚げ大会で、ロサンゼルス総領事館の野本佳夫総領事夫妻が、日米の国旗を150個をつなげた凧を持っている場面。昨年は、日米修好150周年だった。


津軽三味線アンサンブル「わおん」がノース・ハリウッドの劇場で公演、10月9日


三重県四日市市から津軽三味線プレーヤー南橋俊彦が、フロリダ州在住の弟子、かぐらを伴い、アンサンブル「わおん」として、初のロサンゼルス公演を行う。場所は、ノース・ハリウッドのシークレット・ローズ劇場。チケットは10ドル。演奏曲目は、1)津軽じょんがら節(新節) 2)津軽あいや節 3)津軽音頭 4)弥三郎節 5)六段 6)十三(とさ)の砂山 7)津軽じょんがら節(旧節)

長唄・三味線の発表会、9月11日

長唄・三味線の杵屋弥曽藤師匠と杵屋弥曽藤子師匠は、9月11日(日)午後12時半から4時半まで、ブエナパーク市内のアマダ・ホールで弟子たちの発表会「浴衣ざらい」を行う。チケットは15ドル。演目は、「松の緑」「岸の柳」「菊づくし」「都鳥」「松竹梅」(まつ・たけ・うめ)「蓬莱」「末広がり」「梅の栄」「娘道場寺」。

弥曽藤師匠は、サンディエゴ、オレンジ・カウンティーで、25年にわたって長唄・三味線を教えている。弥曽藤師匠の弟子にあたる弥曽藤子師匠は、オレンジ・カウンティー、トーレンスで、教え10年以上の経歴を持っている。オレンジ・カウンティーの教室は、毎週金曜日午後3時から8時までと日曜日午前11時から3時まで。場所はアナハイム笠原文化センター。


イベント短信


9月10日から10月1日 陶芸展示 アーバイン市のファイン・アート・センターで、同市の姉妹都市、茨城県筑波市の陶芸家、都賀俊雄(つが・としお)氏の「つくば焼」展示と、アーバイン周辺の地元作家による「日本の心」展示。

9月18日(日)南加民謡協会による「秋の民謡・歌謡ショー」がトーレンス市内のアームストロング劇場で開かれる。チケットは10ドル。参加団体は、松前会(歌と三味線)、菊田会(踊り)、松豊会(歌と三味線)、竹嶺会(歌と三味線)西村会(歌と三味線)日本民謡研究会ほうしゅん会(踊り)、日本民謡研究会ほうえん会(踊り)。

9月18日(日)映画「細雪」の上映会。日米文化会館主催の映画シリーズ「活動写真」の一環。午後1時からアラタニ劇場で。市川昆監督作品。英語字幕付き。英文タイトルは「マキオカ・シスターズ」。チケットは7ドル。

9月28日(木)野外ステージ音楽。全米日系人博物館の「太鼓」展示の関連行事。博物館前の広場にステージを作り、エイペックス・アンサンブルが出演する。太鼓奏者のケニー遠藤がハワイから参加する。無料。

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浮世絵木版画の摺り実演、ロサンゼルスは9月17日

300年にわたる歴史をもつ浮世絵木版画の摺り実演が開催される。国際交流基金の事業で、カリフォルニア州では、9月17日のロサンゼルスを皮切りに、サンタバーバラ、サンディエゴ、サンフランシスコを回る。実演は、東京新宿区にあるアダチ伝統木版画技術保存財団から派遣された、摺師、榎本千陽(えのもと・ちはる)氏が、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を再現する。解説者はアダチ財団の安達勇理事長(ロサンゼルスとサンタバーバラ)とアダチ版画研究所の中山周氏(なかやま・めぐり、サンディエゴとサンフランシスコ)が行う。

オレンジ・カウンティ日米文化協会が30周年イベント、10月16日

オレンジ・カウンティー日米文化協会が、10月16日(日)にブエナパーク市内のアマダ・プラザ内で、30周年イベントを行う。会員団体の民謡、日本舞踊、茶道、華道、盆栽、箱庭のグループが公演と展示を行う。開会式は、午前11時からで、昼食がつく。イベントは午後4時まで、チケットは35ドル。

ロサンゼルス洗心寺で、雅楽・舞楽コンサート10月1日

ロサンゼルス洗心寺の緊那羅雅楽(きんなら・ががく)は、10月1日(土)午後1時から、洗心寺で、雅楽・舞楽コンサートを行う。入場は寄付5ドル。今回のコンサートは、「ロサンゼルス聖なる音楽の世界祭典、9月17日-10月2日」イベントの一環。元宮内庁雅楽部の団員で、その後UCLAで雅楽を30年にわたって教えた東儀季信(とうぎ・すえのぶ)氏が緊那羅雅楽を指導してきた。

現在の緊那羅雅楽の団員には、洗心寺の会員のほか、天理教ロサンゼルス教会、西本願寺ロサンゼルス別院、東本願寺ロサンゼルス別院の僧侶が加わっている。

サンノゼ太鼓のセリトス公演、10月7日

サンノゼ太鼓が、10月7日(金)午後8時から、セリトス・センター・フォー・パーフォーミング・アーツで公演する。チケットは、42ドルから25ドル。

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リー日本芸術研究所の新展示「女性こそ美、女性こそ芸術家」(1ページからの続き)

サンオーキン・バレーの秘宝(1ページからの続き)

ノートン・サイモン美術館で、フランク・ロイド・ライトが集めた浮世絵の展示会、2006年1月9日まで

日本に有名な建築を残したフランク・ロイド・ライトは浮世絵の収集もしていた。ライトの残した浮世絵コレクションを所蔵するパサデナのノートン・サイモン美術館では、このライト・コレクションの中から12点を選んで、2006年1月9日まで、展示している。

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ロサンゼルスの映画撮影所を借り切り、着物ファッション・ショー、10月23日

ハリウッドの映画業界で、長年メーキャップの仕事に携わり、エミー賞も受賞している、ロサンゼルス在住の奈良佳緒里ターナーさんが、アメリカ人の映画関係者に本物の日本文化を紹介したいと、日本の長沼きもの学院と共催で、10月23日、ロサンゼルス・センター・スタジオの撮影所を借りて、「着物・夢物語イン・ハリウッド」を行う。

入場は、招待者のみで、日本から約600人、ハリウッド映画業界から約200人、ロサンゼルス地元から約200人の、計1000人が集う。

撮影所内に特設ステージを作り、ロサンゼルス在住の画家、ヒロ・ヤマガタさんと、京都のデザイナー千地泰弘(ちじ・やすひろ)さんがデザインした着物約200点を、歴史順に披露する。着物モデルは、日本からのモデルだけでは足りず、ロサンゼルスの日本舞踊、坂東三津拡会、若奈会(花柳若奈師匠)、華の会(若柳久三師匠)、若久会(若柳久女師匠)藤間勘セイ師匠の教室などから着物モデルが参加する。

若柳久三師匠の華の会、イタリア公演、9月24、25日

ロサンゼルスで、日本舞踊を教える若柳久三師匠の「華の会」が、東京の「日本生活文化交流協会」の要請を受けて、9月24日と25日、イタリアのマテラで公演する。演目は、「流星」「日本の四季」「恋幽霊」の3部で、華の会メンバー5人のほか、東京の若柳流から若柳彦左衛門らベテラン舞踊家5人が現地で合流する。

日本生活文化交流協会は、日本のふだんの生活・文化を海外に伝えることを目的とした団体で、毎年の海外イベントには、舞踊のほか、茶道、華道、書道、着物など、総勢100人を超える専門家が参加している。昨年は、ルーマニアで公演が行われ、華の会の舞踊はルーマニア人に深い感銘を与えている。

日本舞踊の藤間勘須磨師匠が3人の名取りを発表 (6ページへ続く)

ロサンゼルスで日本舞踊を70年にわたって教えている藤間勘須磨師匠は6月18日、東京から藤間勘十郎家元を招き、3人の名取りの発表をした。名取りになったのは、藤間勘須登(ワイデル登代子)、藤間勘須貴(又村かずき)、藤間勘須史(千葉泰世)。

四国巡礼記:聖なる場所へ入る (6ページへ続く)

愛媛県新居浜市在住の文化人類学者、バーバラ伊藤さん(博士)による四国巡礼についてのエッセー。今回は、寺院に入る際の、清めについての解説。

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日本語教師の会TJSC

南カリフォルニアで、日本語を教える教師のための協会、TJSCが発足したのは1984年、昨年で20周年を迎えている。TJSCの会員は、高校で日本語を教える教師が中心だが、この他に、日系人に日本語を教える学校(土曜のみ)や小学校で日本語を教える教師、大学の研究者、大学院生なども、参加している。春と秋に行う講習会は、非会員でも、参加できる。秋の講習会は、11月6日(日)、シャーマン・オークスのノートルダム高校で行われる。

2005-2006年のTJSCの会長は、UCLAで日本語講師を務める林あさこ博士。

日系高齢者の福祉に貢献した妙中俊彦さんの追悼式、9月25日

ボイル・ハイツにある敬老引退者ホームの理事を長年、務め、募金集めの中心となっていたガーデナ在住の妙中俊彦氏が7月26日、死去した。78歳だった。東京生まれの妙中氏は、東京外事専門学校(現東京外国語大学)で中国語を専攻。戦後、西本貿易で働いた後、フジヤ商事を設立、1964年にアメリカに移住した。1980年にベスト・カーペット社を設立、死去するまで、社長を務めていた。

1965年、敬老引退者ホームの設立者、和田勇氏に出会ったことから敬老の募金活動に参加するようになり、晩年は、敬老のスポークマン役を果たしていた。葬儀は7月29日に行われたが、葬儀に参列することができなかった、敬老引退者ホームの居住者や妙中氏の友人たちが、9月25日午後2時から、ボイル・ハイツの敬老引退者ホーム施設内で、追悼式を行う。

広告:正派若柳流、舞踊教室
広告:杵屋弥曽藤子による長唄・三味線教室
広告:ウエスト・サイド剣道道場
広告:シークレット・ローズ劇場

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発行人の日記:購読者の募集

カルチュラル・ニュースは、これまで、6000部を印刷、大半を無料配布してきましたが、これからは有料化に切り替えます。現在、有料購読者数は300ですが、12月末までに、2000人の購読者の獲得を目指します。例えば、現在の購読者が、2部ずつ新規購読を申し込んでいただくと、全部の購読者数は、900人になります。そして、900人が、さらに、1部ずつ新規購読を申し込んでいただくと、約2000人の購読者数になります。2000人の購読者達成のためには、現在の読者の協力が、ぜひとも、必要です。よろしくお願いします。(東 繁春)

全日空が、ロサンゼルス-東京便で、10月8日から機上インターネット接続サービスを開始

英語俳句

広告:国際交流基金の日本語能力試験

広告:カルチュラル・ニュース読者会、10月15日(土)に開催
広告:平安インターナショナル刊「日本の家庭料理」

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家庭料理の作り方
うどんとそば(平安インターナショナル刊「日本の家庭料理」より転載)

広告:「寺町」新築マンション入居者募集


カルチュラル・ニュースのアメリカ国内の購読料は、年間20ドル(12ヶ月分)です。アメリカ国内では、ファースト・クラス郵便で、お届けします。

日本での購読料は年間5000円、もしくは40ドルです。日本へは、航空便でお届けしています。

詳しくは東繁春(higashi@culturalnews.com, Fax:+1-213-388-8428)へ。
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by culturalnews | 2005-09-16 22:48 | 月別の日本語要約
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●文化庁から「文化交流使」に任命された女優の杉葉子さん(6ページに続く)

戦後の日本映画界で、活躍した女優の杉葉子さんが、5月に文化庁から「文化交流使」に任命された。任期は、今年の10月末まで。杉さんは、1978年から、ロサンゼルスに在住。

文化交流使は、世界の人々の日本文化への理解を深め、国と国の相互理解を増進するための文化交流活動をする仕事。杉さんが任命された理由は、女優として日本映画の黄金期(1940年代~60年代)に活躍した映画人であること、また、渡米後、ロサンゼルスのニューオータニ・ホテルにおいて、20年間にわたりホテルのイベント企画部長としての仕事が、日本文化の紹介に貢献したこと。

杉さんは、8月13日から28日まで、ロサンゼルスの日米文化会館で「時空を越えた永遠のシネマ」展示会と、10月8日サンフランシスコ郊外のカリフォルニア大学バークレー校内の映画施設で、「怪談」(1965年制作、小林正樹監督作品)の上映会を行う。

東京生まれの杉さんは、国税庁幹部だった父親の転勤で、中国・上海の女学校にかよった。この上海時代は、自宅では、多くの使用人がいた裕福な生活をしていたが、日本の敗戦で、難民状態で、日本に引き上げた。東京の自宅が東宝撮影所の側にあったことで、撮影所に働くひとたちと知り合いになり、「東宝ニューフェイス」に応募することを勧められ、1947年、6000人の応募者の中から、第2位に選ばれた。

その後、杉さんの代表作となる、出演第1号の「青い山脈」が1949年に公開され、新子(しんこ)役で、たちまち人気女優になった。その後、70本を越える映画に出演、1960年代にテレビ番組が始まると、映画俳優がテレビに出たがらない時代に、積極的にテレビ出演をした。
米軍属の米国人と東京で結婚、夫の転勤で、台湾、ドイツ、アメリカを回り、アリゾナ州ツーソンにいたとき、離婚、以後、ロサンゼルスに在住している。

アメリカでも、日本人移民を描いた「一旗」、ハワイの日本人移民の写真結婚を描いた「ピクチャー・ブライド」などに出演している。
(英文記事は、元羅府新報英文編集長の中山健が担当)

●四国巡礼記「同行二人」(5ページに続く)

新居浜在住のアメリカ人文化人類学者、バーバラ伊藤さんによる「四国巡礼シリーズ」=四国巡礼者は、「同行二人」と書かれた杖をもって旅をする。これは、巡礼者は、四国巡礼を始めた空海と、いつも、いっしょに旅をしていることを意味している。空海、のちの弘法大師こそ、中国から日本へ仏教を伝えた人物である。

空海は、僧侶であっただけでなく、歌人であり、彫刻家であり、書道家であり、哲学者であり、土木技師であり、学者であり、教育者であった。

空海は、775年に香川県に生まれた。15歳のとき、朝廷の官僚になる教育を受けるため、長岡京に上るが、儒教の勉学だけに飽きたらず、出家する。804年、中国・長安にわたり、わずか、2年で、真言仏教の後継者になる。帰国後、和歌山県高野山に修行寺院を建てた。四国に作った88ヵ所の寺が、現在の四国巡礼に継承されている。高野山に作られた修行寺院は、日本最古の大学であり、その時代では、世界でも、最初の大学であったかも、しれない。当時、仏教を学ぶことができるのは、貴族だけに限られていたが、高野山は、身分に関係なく入学を許される場所でもあった。

空海が中国から仏教を伝えて、1200年が経つが、巡礼者は、いまでも、空海といっしょに、旅を続けている。

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●二世ウィーク・イベント

南加滋賀クラブの100周年記念イベントで、リトル東京で江州音頭を披露、8月19日
滋賀県出身者で作る、南加滋賀クラブの創立100周年と、第10回滋賀県人会世界大会を兼ねた催しが8月20と21日にロサンゼルスで行われるが、その前夜祭イベントとして、江州音頭(ごうしゅう・おんど)が19日午後6時半から、リトル東京の日米文化会館広場(野口プラザ)披露される。

江州音頭が生まれたのは、明治の初め。滋賀県八日市の西沢寅吉が広めた。寅吉は、7、8世紀から伝わる祭文(さいもん)語りの第一人者、桜川雛山(さくらがわ・ひなざん)に弟子入り、また、念仏踊り、歌念仏を取り入れた。寅吉の音頭は、八日市を中心に、近江路一帯に広がり、美濃や伊勢などにも評判が伝わり、江州音頭として定着した。

寅吉は、初代桜川大龍となり桜川一門を発展させる。8月19日の江州音頭では、家元、二代目桜川貴美子が登場する。地方も生演奏される。江州音頭の振り付けも、当日、滋賀県から来る2人の師範が指導する。参加費は、無料。

●二世ウィーク・イベント

日本映画をアラタニ劇場で上映、8月21日

日米文化会館は、「活動写真」シリーズとして日本映画の上映を、8月21日、アラタニ劇場で行う。また、8月13日から28日までは、同会館ノース・ギャラリーで、文化庁・文化交流使に任命されている杉葉子さんの主催による「時空を越えた永遠のシネマ」展示会が行われる。21日の映画は、午後1時から「新・平家物語」(1955年制作、溝口健二監督作品)、午後5時から「切腹」(1962年制作、小林正樹監督作品)を上映する。9月18日午後1時からは「細雪」(1983年制作、市川崑監督作品)

21日は、また、「時空を越えた永遠のシネマ」のレセプションが行われ、琵琶の演奏、弓道の披露などが行われる。

●リトル東京で相撲大会、8月14日

10月にラスベガスで行われる大相撲のPRイベントとして、8月14日(日)午前10時から午後2時まで、日米文化会館広場で、「グランド相撲オープン」が行われる。日本相撲協会から堺川親方(元・両国)と門下の西前頭八枚目、岩木山、それに行司、呼び出しが参加する。岩木山による相撲の披露のほか、地元アマチュア選手による勝ち抜き戦も行われる。カリフォルニア相撲協会の主催。

●二世ウィークのパレード(14日)と音頭(21日)は、「松ケン・サンバ」と「日系音頭」で 

第65回二世ウィークの公式振付師(オフィシャル・コリオグラファー)は、坂東三津拡師匠で、14日のパレード、21日の閉会式・音頭で、「松ケン・サンバ」と「日系音頭」が披露される。

●南加生花教授会の「いけばな展」は、8月13、14日

恒例の南加生花教授会の「いけばな展」が、8月13、14日、日米文化会館のドイザキ・ギャラリーで行われる。池坊から13人、草月流から10人、専正池坊から1人、小原流から1人の師範が、いけばなを展示する。

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●能とアメリカ・インディアン芸術の融合「聖なる梅の月-クレージー・ホース」公演、9月23日

観世流の能とアメリカ・インディアン芸術が合体した舞台「聖なる梅の月-クレージー・ホース」が、人間国宝、野村四郎の息子、野村昌司やアメリカン・インディアンの俳優の出演で、9月23日午後8時、トーレンス市内のアームストロング劇場で上演される。

19世紀に実在したラコタ・スー族の英雄クレージー・ホースをモチーフにして、現代に生きるその子孫の女性が、自分のアイデンティティーを見つけて行くという物語。サンフランシスコのシアター・オブ・幽玄、東京のティニー・アリス劇団、米国のアメリカン・インディアン・ダンス・シアターの共同制作。愛知万博での上演を皮切りに、東京・シアター・カイ、サンフランシスコ市立大学、ラコタ・インディアンの聖地メイン州エリオットを回り、ロサンゼルスに来る。

ロサンゼルスでは、日本伝統芸能振興会の協力のもとに、トーレンス市文化芸術センターが主催者。

日本語と英語のセリフをつかい、翻訳は字幕を使う。日本語セリフと能の振り付けは、野村四郎が担当、クレージー・ホースの役を野村昌司が演ずる。日本から幸清流小鼓方の大倉栄太郎が参加する。

ワークショップも、行われる。9月22日に、パサデナの秀明ホールで能を、トーレンスの文化芸術センター内ナカノ劇場でアメリカン・インディアン・ダンスが行われる。能ワークショップは、野村昌司、大倉栄太郎、日本で能を教えているリチャード・エマートが講師を務める。

●2005年、聖なる音楽の世界フェスティバル、9月17日~10月2日

1999年と2002年に行われた「聖なる音楽の世界フェスティバル-ロサンゼルス」の2005年版のイベントが9月17日から10月2日まで、ロサンゼルスで行われる。「聖なる音楽フェスト」は宗教、階級、文化、人種、言語を越えて異なる文化を体験してみようという試みで、16日間に43のイベントがロサンゼルス各地で行われる。

日本や日本文化に関係をしたイベントは以下のとおり:パサデナの、芸術のための訓練センターで、ビル・ショーザン・シュルツによる尺八演奏とキチャオ・リーによる中国の弦楽器演奏(9月30日)。

「聖なる梅の月」、能を使った舞台で、アメリカ・インディアン、クレージー・ホームを表現する。トーレンスのアームストロング劇場で(9月23日)。 

日本、インド、ペルシャの音楽と舞踊「天上の響き」コンサート。日本からはショー太鼓が参加。アームストロング劇場で(9月25日)。

連続10時間にわたる家族のためのマドリッド劇場フェスティバル。オン・アンサンブル太鼓が参加。(9月25日)   

全米日系人博物館で、インド、インドネシア、ビルマ、中国、アメリカのアーティストによるAPPEXアンサンブルが演奏する。同博物館の展示「大きなドラム:アメリカの太鼓」の関連イベント。(9月29日)。

ロサンゼルスの洗心仏教会での雅楽演奏。(10月1日)。

●国際交流基金の日本語能力試験、12月4日の実施、申し込み受け付けは8月1日から10月7日まで

世界中で日本語学習者が増え、自分の習得度知りたいというひとが増えていることに答えて、国際交流基金は毎年、日本語能力試験を行っているが、今年は、12月4日(日)、アトランタ、シカゴ、ホノルル、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンDCで、試験が行われる。登録期間は、8月1日から10月7日まで。

試験は難易度によって、一番難しいレベル1からレベル4の4つ。自分のレベルを調たり、受験登録をするには、交流基金のウエッブサイトを開くことが、一番簡単である。

●リー日本美術研究所が設立10周年のお祝い

中部カリフォルニア、ハンフォードにあるリー日本美術研究所が、創立10周年を記念して募金集めの晩餐会を9月17日午後6時半から行う。

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●軍事ジャーナリスト神浦元彰「中国が朝鮮半島を併呑する?パート1」

ロシアとの国境問題を解決し、メコン川流域開発で、東南アジア諸国を味方につけた中国は、その鉾先を朝鮮半島に向けようとしている。

●NHKが原爆番組を世界の放送局へ、無償で提供へ

NHK設立80周年と、第二次世界大戦終結60周年を記念して、NHKはアーカイブ(番組保存所)の中から原爆や平和問題の番組ばかり約400点を集めて、「平和アーカイブ」を今年1月にオープンさせた。「平和アーカイブ」の中から英語ナレーションを付けた3番組を、外国の放送局のために、無料で貸し出すサービスを今年12月31日まで、行っている。ビデオ・テープの送料は、NHKが負担する。「平和アーカイブ」は、埼玉県川口市のNHKアーカイブの中にあるが、アーカイブへのアクセスができるNHK放送局でも、映像を見ることができる。

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●ロングビーチ市と三重県四日市市の姉妹提携
40周年を迎える高校生交換プログラム

ロサンゼルス近郊のロングビーチ市と三重県四日市市の高校生交換プログラムが、今年で40周年を迎える。ロングビーチからは、毎年、男子1人、女子1人に、先生1人の計3人(トリオ)が、四日市を3週間訪れる。今年は、高校生男子がダリン・リー、高校生女子にキャロル・テーラー、先生にロングビーチ統一学校区の教師、ティファニー・ウイリアムズが選ばれ、7月18日から8月9日まで、日本を訪れる。

●ロングビーチから2人の英語教師を派遣

ロングビーチ市から四日市市に毎年派遣される、英語教師に、今年は、ミリアム・ガルベウズとアライナ・クリセクが選ばれた。8月中に四日市に行き、1年間、小学校、中学校で、英語の補助教員を務める。1年後に相互が合意すれば、延長もできる。このプログラムは19年間続いている。

●本の紹介:英訳「空海の風景」司馬遼太郎著

日本仏教の礎を築いた空海、日本文化の父とも言える空海の伝記が英訳された。原書は、司馬遼太郎の「空海の風景」。英文タイトルは、「クウカイ・ザ・ユニバーサル」。トーレンスの平安インターナショナルから出版。

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●米国の柔道高校生チャンピョン36人が日本訪問

アメリカにおける柔道の全国組織「USAジュードー」は、今年は、日米文化交流として2チーム、計36人の高校生グループを日本へ派遣した。派遣選手は、3月20日に、カリフォルニア州立大学サンノゼ校で行われた、全国大会の優秀選手の中から36名が選ばれた。全国大会は、中・高生合わせて、22州から328選手が参加した。 日本訪問第一陣は、6月14日から29日まで。第二陣は、7月23日から8月5日まで。

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●発行人の日記:日本文化を楽しむ人の多様化

24年前、わたしが、日本からロサンゼルスへやって来たとき、日本食料や日本食をたべようとすると、リトル東京に行くしかなかった。その後、郊外のいくつかの場所に日本食スーパー「ヤオハン」ができ(ヤオハンは後にミツワに変更)そしてどこにでもあるボンズやラルフといったスーパーマーケットでも、日本食を売るようになった。

同じ現象が、日本文化の愛好者の間で起こっている。サンマリノのハンティングトン・ライブラリー(美術館館公園)では、毎週月曜日の朝、白人の女性が数人集まり、白人の先生から生花を習っている。

和太鼓演奏では、世界的に有名な林英哲は、日本人のまったくいない、オハイオ州ダブリンで、2004年9月から2005年4月まで、6回に渡って、地元の中学生、高校生、大学生に太鼓を教えた。林は、東京からダブリンに行くたびに約1週間滞在、東京から連れて行く弟子2人といっしょに、太鼓を教えた。

その成果は、林自身が、「感激の大成功」と、自らのニュースレターに記している。この成功のため、林はオハイオ州の芸術団体から再び招聘をうけ、今度は、2006年1月から6月にかけて、3回にわたってクリーブランドで、太鼓を教える。

2年ごとに開かれる、第5回太鼓コンフレンスが、今年は、7月15日から17日まで、主催者である日米文化会館の施設とリトル東京内の寺院のスペースを借りて、行われた。約650人の参加者が全米とカナダから集まった。この太鼓コンフレンスの行事の中で、わたしが、もっとも印象的だったのは、「日本人でないと太鼓プレーヤーになれないのか」という討論グループだった。アメリカでは、太鼓というと日本へのイメージが強く結びついている。

サンノゼで、白人ばかりのプレーヤーが、小学校にいくと、日本人が来ることを期待していた教師から落胆された、という話が出た。また、UCLAで太鼓グループに参加している中国系アメリカ人は、友人から「なぜ、日本人の太鼓を(中国人のお前が)どうして、やっているのか、とよく聞かれると発言していた。

この話を太鼓コンフレンスに講師として参加していた林英哲にぶつけてみた。林の答えは、「どこの国のひとであれ、本人が、日本の太鼓を叩いていると思っている限りは、それは日本の太鼓になる」ということだった。林自身が打つ大太鼓の奏法も、伝統的なものではなく、林自身が考案したものだ。アメリカの太鼓グループに影響された日本の太鼓グループも出て来ている。アメリカの太鼓においても、多様化は避けようがない。(東 繁春)

●英語俳句

●西本願寺が、100周年の記念行事

●広告:日本語能力試験

●広告:日本語学園協同システム、9月10日からの日本語・日本文化クラス

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●家庭料理の作り方

いなり寿司と巻き寿司(平安インターナショナル刊「日本の家庭料理」より転載)

●広告:「寺町」新築マンション入居者募集

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by culturalnews | 2005-09-08 09:35 | 月別の日本語要約
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●リトル東京でアニメを見よう(6ページに続く)

1980年代までの日本を代表するイメージといえば、「日本株式会社」だった。ところが、経済バブルがはじけ、日本経済のピークを通り越してしまうと、日本といえば「アニメ」「漫画」を連想することが、あたりまえになって来た。アメリカ人にとって、アニメや漫画という言葉は、アニメや漫画の作品自体だけではなく、日本のポピュラー文化全体を指し示すようになっている。

リトル東京では、毎年8月に二世ウィークが行われる。日本の伝統文化を紹介することを柱のひとつとしている二世ウィークだが、今年は、8月13日と14日にウエラー・コート・ショッピング・センターで、日本のポピュラー文化を紹介することを目的に「アニメ・フェスティバル」が行われる。

二世ウィークでは、8月14日に恒例のパレードが行われるが、昨年に引き続き、今年も、アニメのコスチュームを来たアニメ・パレードが、このイベントに参加する。

アニメ・フェスティバルでは、浴衣ショー、スペース・シャトル・チャレンジャーの爆破で殉死したエリソン鬼塚宇宙飛行士の追悼、アニメ・コスチュームのコンテストなどが行われる。

二世ウィークは、1930年代の不況期にリトル東京の商店街を活性化しようとして始まったイベントだ。これまでの催し物は、日本の伝統文化の紹介が中心で、世界中のひとが興味を持ち始めている日本のポピュラー文化は、ほとんど紹介されてこなかった。

ショッピング・センター「リトル・スクエアー」の中で、着物の作り直しをやっている中本直美さんの店では、最近、アメリカ人からの注文が増えている。アニメ「犬夜叉」で描かれている着物コスチュームを作ってほしいという注文が来ているのだ。中本さんは、着物作りの技術が、こんな風に役に立つとは、思ってもみなかった、と言っている。中本さんは、アニメ・フェスティバルに出店をだす。

アニメ・フェスティバルでは、漫画を描くための画材を販売しているデリーター社の主催による漫画教室も開かれる。

(石丸ひろみ=コミュニティー・ボランティア。フィリップ・ブロック=東京で暮らした経験がある。現在はロサンゼルスで、日本の野球に関する記念品の販売をしている)

●四国巡礼記「門前の守護神」(5ページに続く)

新居浜在住のアメリカ人文化人類学者、バーバラ伊藤さんによる「四国巡礼シリーズ」= 四国巡礼の88ヵ所は、それぞれ特徴をもっている。山のいただきにあるお寺は、徒歩で登るには、楽でないが、お寺にたどり着いたときの景色は、すばらしいものがある。しかし、こうしたお寺を参拝する本来の目的は、景色を楽しむことではない。

愛媛県にある四国巡礼のひとつ仙遊寺も、急な階段を登らなければならいないお寺である。その門前には、巡礼者に警告を発するかのように、二つの仁王像が立っている。正面に向かって右側の仁王は、赤ん坊にように、口を開いている。一方、左手の仁王は、死が間近かに迫ったひとのように口を閉じて、巡礼者をにらみつけている。

仙遊寺の門をくぐり抜ける巡礼者は、この生と死の象徴の前を歩かなければならない。勾配のきつい山道を歩くことを、「難所」という。仙遊寺は、海抜1300フィートもある山頂に建っているお寺なので、「難所」であることは間違いない。しかし、難所は、精神的困難、挑戦をも意味している。

お遍路さんがひとり、石の階段に腰掛けて、運動靴を脱いで、足をマッサージしていた。疲れているようであったが、柔和な顔つきであった。小さな体だったが、しっかりした体格の60代である。このお遍路さんは、巡礼の一番から歩き始めたという。仙遊寺は、58番目のお寺である。
四国巡礼者にとって、本当の困難は、山道や街中を歩くことではない。すばらしい景色を見ることが、その目的ではない。巡礼の本当の目的は、自分自身のことである。

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●女優の杉葉子さんが、文化庁の「文化交流使」に任命される

1950年代、60年代に、日本映画界で活躍した杉葉子さん(ロサンゼルス在住)が、文化庁の「文化交流使」に任命された。任期は、2005年5月から10月末まで。杉さんは、ロサンゼルスでは、ニューオータニ・ホテルで約20年にわたり、日本文化をホテルのイベントに取り入れるコーディネーターの仕事をしていた。

「文化交流使」の仕事は、日本文化や芸術を海外で広める仕事で「外国の文化を学ぶことは、楽しいことで、また、その国にたいする興味や理解を深めることにつながる」と杉さんは語っている。

杉さんは、1947年に東宝ニュー・フェイスで選ばれ、1949年「青い山脈」でデビューし、「青い山脈」は杉さんの代表作品になった。1950年代、60年代には合わせて70本以上の映画に出演した。

テレビ、ラジオにも多く出演している。また、文筆活動も継続している。ロサンゼルスでは、LA東京会の副会長を務めるなど、コミュニティー活動にも積極的に参加している。また、全国組織「日本のお手玉の会」の顧問を引き受けて、日本での活動も続けている。

●裏千家ロサンゼルス支部の講演会、8月27日

裏千家ロサンゼルス支部は、茶道レクチャー・シリーズを始める。第1回は、8月27日(土)午後1時から、リトル東京の日米文化会館ガーデン・ルームで、ヒーバート・プルチョー博士が「茶道の歴史」を講演する。受講料は、一般25ドル、裏千家会員は20ドル。お手前も披露され、参加者にも、お茶とお菓子が用意される。 

プルチョー博士は、UCLA(退職後の)名誉教授で、現在、城西大学のコーディネーターを務めている。プルチョー博士は、1962年、パリ大学を卒業、1966年、早稲田大学で修士号、その後、コロンビア大学で日本文学の博士号を受けている。1984年からUCLA教授を務めた。
プルチョー博士自身も、裏千家ロサンゼルス支部の会員。

第二回レクチャーは、グレン・ウエッブ博士による「茶道と禅」で、日程は、未定。8月15日の講演会の申し込みは、8月15日まで。

●太鼓を中心とした野外コンサートが、7月7日から始まる

リトル東京にある全米日系博物館は、木曜日の夕方を使って野外コンサート「ファースト街・アンド・セントラル街・サマー・コンサート」を7月7日から始める。午後7時30分からで、無料。
7月7日は、ラテン音楽のオマヤが出演。

7月28日は、緊那羅(きんなら)太鼓が出演する。緊那羅太鼓は、1969年に洗心仏教会の中で発足、南カリフォルニアでは一番古い、太鼓グループ。また、7月14日からこの博物館で展示される「ビッグ・ドラム:アメリカの太鼓」展の関連イベント。

8月4日はレゲー音楽。

8月25日は、イーストLA太鼓が出演する。太鼓演奏に先立って、記録映画「マセオ:イーストLAの鬼太鼓」が上映される。イーストLA太鼓のリーダー、マセオ・ヘルナンデスは、新潟県佐渡島を拠点にしていた鬼太鼓座の元メンバー。

●オレンジ・カウンティー仏教会で、お盆カーニバル、7月16、17日
 
●東本願寺で、お盆カーニバル、7月23、24日

●7月15日予定の北米太鼓コンテスト(5月号、3ページ)は中止になりました。
●6月号の記事「四国遍路道」に出てくる石手寺の番号は、51番でした。58番は、この7月号で紹介されている仙遊寺です。
●6月号掲載、東本願寺のお盆カーニバルの広告は、昨年に広告を掲載していました。今年の広告は、7月号5ページに出ています。

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●オーロラ奨学金コンサートに夏川りみが出演、10月1日

日本語奨学基金の募金を目的としたオーロラ・コンサートが、10月1日(土)午後5時から、リトル東京のアラタニ日米劇場で、日本から夏川りみを迎えて、行われる。チケットは、65ドル、50ドル、35ドル。

オーロラ基金は、アメリカで日本語を教える教師ために奨学金として1998年に発足した。募金を目的とした日本の有名歌手によるコンサートを毎年、行っているが、今年は、沖縄県石垣島出身の夏川りみを迎える。

夏川は、2001年に発売された「涙(なだ)そうそう」で有名になった。2002年にはNHK紅白歌合戦に出場。2004年には、日本レコード大賞を受けている。NHKが愛知万博のテーマソングとして作った「心、伝え」の歌手にも、抜擢されている。

●全米日系博物館が「ビッグ・ドラム:アメリカの太鼓」展、7月14日から2006年1月8日まで

リトル東京にある全米日系人博物館が、7月14日から2006年1月8日まで、アメリカの太鼓ブームを紹介する展示としては初めての「ビッグ・ドラム:アメリカの太鼓」を開催する。アメリカの太鼓グループは、1960年代に、カリフォルニアにわずか3つしかなかったが、今では、24州およびカナダにわたって、約200のグループに発展している。

「ビッグ・ドラム」展示は、以下の5つのセクションに分けられている。「コミュニティーができるまで」「太鼓の歴史ができるまで」「アメリカの太鼓ができるまで」「太鼓が知られるようになるまで」「太鼓が新しい意味をもつようになるまで」。各セクションは、ビデオによる解説が行われる。このビデオは、同博物館のメディア・アート・センターが制作したもので、1960年代の公民権運動、1970年代のアジア系アメリカ人による権利獲得運動などの、社会背景と太鼓の広がりを関連付けて紹介している。

展示物は、ワイン樽で作った太鼓、第二次大戦直後の盆踊りに使われた櫓、600ポンドの重さの桶洞太鼓など、すべて、日系アメリカ人が作ったものが展示される。写真も多く展示される。

●太鼓が買えるマーケットプレース、7月15、16、17日

7月15日から17日まで、リトル東京の日米文化会館で太鼓コンフレンスが行われるが、この中で、太鼓が買えるマーケットプレースが開催される。

このマーケットプレースでは、さまざまな種類の太鼓のほか、バチやチャパなど、小道具類も展示販売される。出店者は、石川県の浅野太鼓音楽店、東京の宮本卯之助商店のように日本で有名な老舗のほか、今回、新規には、京都から太鼓センター、北カリフォルニアからパール・ドラム・カンパニー、加藤太鼓カンパニーなど。前回に引き続いて、パーカッション・メーカーのレモ・パーカッションやローリング・サンダーも出店する。

浅野太鼓は、17世紀創業の太鼓メーカーで、同社の太鼓は、鼓童、鬼太鼓座、大江戸助六太鼓、祭衆などの有名なグループが使っている。

宮本卯之助商店は、1861年の創業で、太鼓だけはなく神輿も制作している。また、能、歌舞伎、雅楽に使われる楽器も作っている。

マーケットプレースへの入場は、太鼓コンフレンスの登録者は、無料。一般は、20ドルの入場料。マーケットプレースは、日米文化会館ビル1階のドイザキ・ギャラリーで行われる。

●太鼓だけではなく、教則DVDも販売されるマーケットプレース

今回はじめて、北米太鼓コンフレンスに参加する「太鼓センター」は、1988年に京都で創業した。太鼓センターは、太鼓の製造・販売だけでなく、教則本DVDの制作・販売を行っており、教則本DVDは、これまでの15年間で、20タイトルを発売している。教則本DVD「和太鼓入門」は、日英両語版で、外国人からも高い評価を受けている。太鼓センターは、京都、大阪、東京に教室を持ち、合計1000人以上が太鼓を習っている。太鼓センターの取扱商品は、インターネットでも購入ができる。www.taiko-center.co.jp

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●全国お手玉遊び大会が岐阜県美濃加茂で開かれる、9月3、4日

第14回全国お手玉遊び大会が、9月3、4日に、岐阜県美濃加茂市内で行われる。プレ大会は、9月3日(土)午後1時から4時まで、日本昭和村で行われ、午後6時からの前夜祭は、シティホテル美濃加茂が会場になる。本大会は、9月4日(日)午前9時半から中央体育館(プラザちゅうたい)で行われる。今年は、約1800人の参加が見込まれている。

今年の全国お手玉遊び大会は、愛知万博にパートナーシップ事業として認められている。愛知万博は、9月25日まで開催。美濃加茂市から愛知万博会場までは、車で、約90分。

全国お手玉遊び大会は、愛媛県新居浜市の「日本のお手玉の会」が主催している。日本のお手玉の会は、1990年代に、ボランティア・グループが、小学校や老人介護施設を訪問して、お手玉作りとお手玉遊びを披露したのが始まり。

全国お手玉遊び大会は、お手玉を続けられる時間を競い合う。一般と小学生の部に分かれている。それぞれ、個人戦と団体(5人)戦がある。美濃加茂大会への申し込み締め切り日は、8月1日。Eメール、nob@mocha.ocn.ne.jpへ。

●ラスベガス相撲のチケット発売中

ラスベガス大相撲が、10月7, 8, 9日にマンダレー・ベイ・ホテルで行われるが、ロサンゼルスにカリフォルニア相撲協会が、手数料なしで、チケット販売を行っている。チケットの申し込みは、www.usasumo.comへ。

また。カリフォルニア相撲協会は、リトル東京の二世ウィーク期間中の8月14日、相撲大会を開催する。詳細は追って発表される。

●日系大学夫人協会が奨学生を募集中

ロサンゼルスの日系大学夫人協会が、2005年度の奨学生を募集している。資格は、2005年秋に、カリフォルニア州内の短大か大学に入学する女性で、日米関係、日本文化の普及に貢献していること。1500ドルの奨学金が与えられる。締め切りは、9月30日。

●リー日本美術研究所が10周年、9月17日

カリフォルニア州中部にあるハンフォードのルース・アンド・シャーマン・リー日本美術研究所が、10周年を迎えるので、9月17日に、同研究所で祝賀会が催される。同研究所の創立者ビル・クラーク氏の私邸にある日本庭園で、レセプションが行われる。

●広告:裏千家ロサンゼルス協会の講演会


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●2005年秋と2006年冬の日本関係の出版予定

講談社アメリカは、2005年秋と2006年冬にかけての、日本関係の英文書籍の出版計画を発表した。

啓発された形式:日本伝統工芸を使った近代デザイン(2005年11月発売)
ビーズ・ファンタジー 第2巻:より美しく、宝石の簡単な作り方(2005年11月発売)
アジアの味:スパイス、ソース、調味料の秘密を公開(2005年10月発売)
智恵を授けられた台所:日本の精進料理(2006年1月発売)
日本映画の100年:映画史とDVD/ビデオ解説(2005年9月発売)
タブロイド東京:日本の週間雑誌から拾ったセックス、犯罪、奇妙な事件、101話(2005年10月発売)
漫画を使った日本語教科書、第2巻:基礎から中級編(2005年10月発売)
宮部みゆき「クロスファイヤー」(2006年3月発売)

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●ニューオータニ・ホテルの夏イベント、6月21日から8月31日

●アメリカ人教師の日本招待プログラム(17人の参加者リスト)

●二世ウィーク・コーラス・フェスティバル、8月6日

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●発行人の日記:小さな放送局の大きな挑戦

先月から、毎週火曜日と土曜日は、朝5時に起きてインターネットを開くことが習慣になっている。東京から発信している下北FMというラジオ放送を聞くためである。ホームページはwww.shimokitafm.com。この放送は、5年前にロサンゼルスにいた大蔵智章さんというフリーランスのアナウンサーがやっている「ミニFM」局である。「ミニFM」は、電波法にひっかからない範囲の微弱な電波を使う放送で、合法的なものである。しかし、放送を聞ける範囲はきわめて狭い。

大蔵さんは、インターネット放送を始めるまえは、東京・世田谷区の小田急線下北沢駅まえで、ストリート・ディスク・ジョッキーなるイベントをやっていた。技術の発達で、ストリート・ディスク・ジョッキーが簡単にインターネットで、放送できる時代である。

下北FMの内容は、Jポップ音楽や、若い流行歌手やタレントのインタビューである。わたしが、この放送を聞いているのは、その音楽やタレントにとくに興味があるわけではなく、大蔵さんのチャレンジを見守りたいからだ。わたしがやっている、このカルチュラル・ニュースもインターネットの利便性に大いに頼っている。しかし、ものごとへの挑戦というのは、あたらし技術を使いこなすことではなく、困難なことでもやってみようという、意志の問題である。その意味で、大蔵さんには、大いに共感すべき点が多い。

●読者からの手紙

6月号の「アメリカ人歌舞伎役者」には、ひきつけられました。カリフォルニア州で育ったひとが、日本の歌舞伎役者になるという身近に話題は、いい記事でした。こうゆう記事こそ、カルチュラル・ニュース読者が期待しているものです。

ところで、岡山でわたしの親戚のジョン・ウエルズが備前焼をやっています。備前焼は、アメリカでは、まだ知られていません。パシフィック・アジア美術館で、韓国陶芸展をやっていますが、備前焼の展示もすべきです。

バーバラ伊藤博士による四国の記事を読むと、わたしも四国を旅行したことがあるので、思い出が湧いてきます。カルチュラル・ニュースを読むことを楽しみにしています。ロサンゼルスのパトリック・H・ウエルズより

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●家庭料理の作り方

天丼と牛丼の作り方(平安インターナショナル刊「日本の家庭料理」より転載)


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by culturalnews | 2005-09-08 09:26 | 月別の日本語要約
カルチュラル・ニュース 2005年8月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

中国が7月に入ると一気に外交攻勢を仕掛けてきた。まずは胡錦涛主席がロシアを訪問して中ロ首脳会談を行った。プーチン首相との会談では、今後、中ロが戦略的なパートナーを結び、アメリカの1極主義に反対することを約束した。またロシアの石油を中国に優先的に提供することに合意した。これは先月6月に、中ロの最重要課題の国境問題を解決し、トゲを抜いたことで可能になった。これからは中国東北部(昔の満州)の大規模開発に、中ロが共同して行うという。

さらに中国の雲南省の昆明では、7月4日から「メコン川流域開発計画(GMS)」の第2回首脳会議が開催された。この会議に出席したのは中国の温家宝首相である。海軍力の弱い中国は、南シナ海ではなく、メコン川を交流路として整備し、東南アジアに経済進出する主要ルートとした。

このためメコン川の急流にあった危険な岩は爆破され、メコン川のいたるところに新しい港が建造された。その港には内陸部に向かい新しい道路が建設された。それらの大工事は中国の経済援助で行われた。これでメコン川流域のミャンマー、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナムでは、中国製品が溢れるようになった。

今回のメコン川首脳会談で、温家宝首相はさらなる援助を約束した。タイには中国が輸入した野菜の代金として、装甲車132両(約43億円)を提供するという。またミャンマーには中国の資金援助で、昨年3個所の水力発電所を完成させたが、さらにラオスを加えて、水力発電所の建設を約束した。これでミャンマーだけでも総電力の6割を中国が援助したことになる。

中国はミャンマーに石油パイプラインを建設している。このパイプラインを使えば、中東の石油がマラッカ海峡を通ることなく、安定して中国の雲南省に陸上輸送することが可能になる。中国はマラッカ海峡の米海軍が脅威と考えている。

さらにプーチン首相と首脳会談を済ませた胡錦涛主席は、中央アジアのカザフで開催された上海協力機構の首脳会議に臨んだ。中国、ロシア、中央アジア4カ国で作る上海協力機構では、中国が中央アジアの治安対策に協力するかわりに、キリギスから中国が石油や天然ガスの供給を受けることを発表した。

アメリカに対しては、中央アジアから米軍の撤退する時期を公表するように迫った。ロシアや中国と隣接する中央アジアは、アメリカの経済援助や軍事力より、隣の大国を意識するしかない。

このように南方はメコン川流域開発で、南を固めた。そして北はロシアとの戦略パートナーの関係を固め、中国東北部の開発を共同で行う。さらに西では上海協力機構で中央アジアに、親中・反米関係を築くことに成功した。

そして最後の仕上げは、東方に向いた朝鮮半島を支配する準備を進めている。中国が朝鮮半島を影響下に入れれば、日本は脇腹にナイフを突きつけられたほどの脅威となる。中国はいかにして朝鮮半島を支配するのか。次回はそれを指摘したい。  (つづく)
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by culturalnews | 2005-09-08 09:16 | 神浦元彰の世界の見方

北朝鮮が核実験?

カルチュラル・ニュース 2005年6月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

日本が5月の大型連休をむかえた頃、北朝鮮が6月にも核実験を行うという報道があいついだ。これを最初に報じたのは、アメリカのニューヨークタイムス紙である。その記事では、北朝鮮の中央部の東岸近くで、軍のトラックが頻繁に走り回り、近くの廃鉱が大量の土で埋められ、そばに観覧席が建設されているという。これは北朝鮮が地下核実験を行う兆候で、観覧席は核実験を見物するためと説明された。

この記事は、ちょうどニューヨークでは5年ごとに核兵器拡散防止を話し合うNPT会議が始まる直前と重なった。

この新聞報道を受け、日本ではパニックと思われるほどの関連情報が飛び交った。北朝鮮は2月に核保有宣言を行ったが、アメリカに無視されたので核実験を行う。あるいは北朝鮮の軍部は核実験を強く求めており、金正日は軍の要求を無視できないと解説した。さらに地下核実験でも放射能は空中に放出され、日本に北朝鮮から死の灰が襲うというものもあった。また、グアムの米軍基地ではB-2爆撃機が、核実験を阻止するために空爆準備に入ったと報じるスポーツ新聞もあった。

さらに日本の全国紙では、CIAの元高官が、「北朝鮮は5~8個の核爆弾を保有している」とか、IAEAのエルバラダイ事務局長まで「北朝鮮は核兵器を保有している可能性がある」と証言した記事が掲載された。

しかしよく考えて欲しい。CIAの任務は北朝鮮の核兵器情報を世界に知らせることではない。北朝鮮に対する国際世論を悪化させ、北朝鮮を孤立させるための情報操作を行う機関である。そのなら、たとえ偽情報でも新聞にリークすることが多い。最初にCIAが知り合いの新聞記者に、北朝鮮が核実験を行う兆候があると偽情報をリークした。そのように考えても情報戦の常識である。

さらにエルバラダイ事務局長は、「北朝鮮は核武装の可能性がある」と話しただけで、「核武装を断定した」わけではない。なぜそのようなことをしたかといえば、イラクの大量破壊兵器の査察問題で、エルバラダイ事務局長はブッシュ政権と激しく対立した。その対立を解消して、今後もIAEA事務局長の椅子を守るために、ブッシュ政権にゴマをすったのである。

結局、中国政府の高官(複数)が、「中国は北朝鮮が核実験を行えば強烈に反応する」とか、「中国は北朝鮮が核兵器開発をしないように強く警告している」と表明した。すると韓国の国家情報院(韓国CIA)の院長が、情報委員会の国会議員に、「北朝鮮が核実験を行うような動きは何もない。そのような報道は間違い」と否定してこの騒動は終わった。

北朝鮮は核カードで脅し、アメリカと直接交渉して、「核武装を行わない」代償として、金正日体制存続を確約させたい。しかしCIAは北朝鮮の恫喝や脅しを誇大利用して、北朝鮮のイメージを国際的に悪くし孤立させる作戦である。またエルバラダイ事務局長は保身のためブッシュ政権との対立を解消したいだけだ。

その事情を知らない日本は、北朝鮮の核実験をめぐって大混乱した。これは日本が独自の情報機関を持たないことと、日本のメディア(記者)で軍事知識が著しく不足しているからである。日本人が多くを学んだ北朝鮮の核実験騒動だった。
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by culturalnews | 2005-09-08 09:11 | 神浦元彰の世界の見方
駐留なき安保、日本を去る米軍-日本にアメリカ軍の司令部が移設させる理由
 
カルチュラル・ニュース 2005年4月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

米軍は冷戦終結後も、日本や韓国など東アジアに10万人の米軍を配置した。これが緊急事態に対応する前方展開戦略である。しかし前方展開戦略は、米軍の駐留コストが高くつくし、異国の地で勤務する米兵たちに不評だった。また沖縄のように、米軍基地によって発生する騒音や犯罪など、地元に与える負担も重かった。その上、徴兵制を廃止した米軍にとって、兵力を東アジアに縛る前方展開戦略は、対テロ戦争で深刻な兵力不足を生む原因になった。

そこで米軍は全世界的に再配置(トランス・フォーメーション)を始めた。これを簡単にいえば、米軍部隊は前方展開戦略をやめて、戦闘部隊は本国やグアムなどに下がり、いつでも、どこでも緊急展開できる戦略に改めることである。

しかし米軍が安易に東アジアから下がれば、そこに軍事力の空白地帯を生み出す。その空白に中国が進出すれば、アメリカは東アジアのプレゼンスを失うことになる。そこで米軍部隊はトランス・フォーメーションで後方に下がるが、軍事力の空白を生まないように配慮することが必要である。

いや、米軍は後方配備で東アジアでのプレゼンスを失うどころか、さらに強いプレゼンスを得ようとするのが、これから始まる日本でのトランス・フォーメーションなのである。

まずアメリカはトランス・フォーメーションとして、韓国や日本と共通の戦略目標を共有することから始めた。互いが別々の目的では、有事の際の連携ができないからだ。次にアメリカは在外の米軍基地を統廃合して、不要になった基地や施設を返還することにした。

その分、米軍は機動力や海外への緊急展開能力を高め、いかなる緊急事態にも対応できる体制に取り組んだ。そのために重い戦車よりも、輸送機に搭載でき、短時間で遠距離に運べる装甲車が重視さている。軽量の装甲車でも、テロやゲリラ戦では十分に役割をはたすことができる。

実際の戦争が起こった場合、軽量兵器やハイテク部隊で戦う体制を作るメドは立ったが、問題は、平時におけるアメリカの東アジアでの影響力をどのように高めることができるか、という、政治の問題である。

そこでアメリカが考えたのは、米・陸海空軍の東アジア司令部を、あえて日本に置くことである。今、海軍は第7艦隊の司令部が横須賀にある。座間(神奈川県)にはワシントン州から陸軍の第1軍団司令部が移転してくる。横田基地の空軍司令部はグアムの司令部を統合して、東アジアと西太平洋の米空軍を指揮する司令部になる。そして座間の第1軍団司令官に、米陸軍の大将級を司令官に配置することにした。

これで日米安保体制は東アジアでプレゼンスを増すことになる。むろん米軍の司令部を守るのは日本の自衛隊が行う。

日米軍事同盟は在日米軍の駐留なき日米安保体制に向かって動き出す。
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by culturalnews | 2005-09-08 09:09 | 神浦元彰の世界の見方

冷戦から脱皮する自衛隊

カルチュラル・ニュース 2005年2月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰


昨年、12月末に起きたインド洋大津波被害では、15万人を超える死者が確実になった。すでに世界各地で、津波被災者への援助活動が活発に行われている。

日本政府は緊急援助隊を派遣するとともに、インドネシアのスマトラ島に自衛隊員800人の派遣を決めた。具体的には陸自部隊は5機の輸送ヘリ(CH-47 3機、UH-60 2機)と医療チーム(200人)、海自は大型輸送艦、補給艦と護衛艦の3隻(600人)、空自は輸送機の(C-130)を1機か2機(40名)を派遣する。米軍の空母1隻を含む1万3000人にはかなわないが、日本の自衛隊での海外派遣では、過去最大の派遣規模となった。

さらに今回は、陸海空という3自衛隊が、初めて一つの司令部で統合指揮されることになった。統合指揮というのは、米軍などでは珍しいことではないが、自衛隊では初めてのことなのである。

なぜかと言えば、日本は旧軍の時代から、陸軍と海軍の仲が悪かった。中国大陸に進出したい陸軍と、西太平洋を支配したい海軍の戦略が激しく対立した。

陸海空3自衛隊の初級幹部を、同じ学校で教育するという制度は、戦後の防衛大学で初めて可
能になった。(旧軍には空軍はなかった)

しかし各地の部隊では、陸海空の交流はほとんどなかった。1985年8月日航ジャンボ機が墜落した災害派遣では、陸自の偵察部隊と空自(救難ヘリ)の無線機が通じなく、墜落現場さえも特定できなかった。そのために何度も統合して統合指揮演習を行ったが、実際の現場では陸海空の垣根は大きかった。昨年の新潟・中越地震でも、陸海空が違えば、隣の派遣部隊が何をしているか知らないこともあった。

しかし今回のスマトラ沖では、陸自の部隊は海自の輸送艦をホテルシップ(宿泊艦)として使う。米軍がタイのウタパオ基地に設置した救難支援司令部には、陸海空から選ばれた統合司令部が統一した指揮を行い、C-130輸送機が海空部隊に救難物資を運ぶ。

これは自衛隊が、北朝鮮後の基本戦略に掲げている「離島防衛」作戦の訓練でもある。九州南端から台湾を結ぶ線に並ぶ多くの離島を、陸海空3自衛隊が共同で守る作戦テストの初ケースである。

空自の戦闘機や攻撃機が、海上や離島に上陸した部隊を爆撃する。陸自の部隊を搭載した海自の輸送艦が離島に運び、それを海自の戦闘艦船が支援する。そのような陸海空が一体化作戦のテストである。

これは言うまでもなく、近い将来、東シナ海から西太平洋に進出を企てる中国軍を牽制する戦略だ。しかし自衛隊と中国軍が戦争をするためかと問われれば、日本は離島防衛の能力を高めことで、中国に無用な軍事力行使を起こさせないためと答える。自衛隊が離島防衛することで、中国への抑止力を高めるためである。

これが米ソ冷戦という重い武装を脱ぎ、軽くて柔軟な新しい自衛隊の姿なのである。
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by culturalnews | 2005-09-08 09:06 | 神浦元彰の世界の見方

専守防衛は死語

カルチュラル・ニュース 2004年11月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

自衛隊が日本に誕生した50年前も、私が自衛隊に入隊した30年前も、自衛隊に肯定的な政治家や憲法学者が語ってきたのが、「専守防衛」論であった。それで自衛隊が抱える政治的な問題を強引に解決した。

日本は決して海外に攻めない。自衛隊が戦うのは日本に外国の軍隊が攻めて来た場合のみ。だから自衛隊は日本国憲法で保有を禁止されている戦力にあたらない。自衛隊とはまさに自衛権の部隊なのだ。だから日本では「専守防衛」が国是だった。

ところが今、日本の周囲を見渡しても、日本に攻めてくるような意志や能力を持った国はない。あるとすればアメリカだが、アメリカとは日米安保条約を結んだ同盟国だから除外できる。先軍政治を掲げる独裁国家の北朝鮮は、すでに国家基盤は麻痺状態で、崩壊寸前の様相を強めている。とても日本を攻めるような力はない。中国やロシアも、日本を攻める能力はないし、日本とは対立を避ける友好政策をとっている。

こうなると専守防衛の自衛隊は存在意義を失いかけている。自衛隊ばかりではない。日本を守
ることを前提に結ばれた日米安保条約も、その存在意義を失いかけてきた。

といっても、日本には戦争を禁じた憲法があるかぎり、自衛隊が米軍と一緒にイラクで戦うことはできないし、大部分の日本国民はそれを支持しない。(自衛隊の人道的復興支援は別)
そこで小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」は、このことの重大性を指摘し、日米が自衛隊や日米安保条約の再定義を話し合い、新たな共同宣言をするように勧告する報告書を提出した。

この報告書を受けて、年内には日本の国防戦略の基本計画を示す「防衛大綱」が改定される予定である。

いよいよ日本では「専守防衛」に代わって、新たな国家戦略の時代が始まる。

しかし日本の政府には、その肝心な国家戦略がわからない。自衛隊は国連活動を重視するとすれば、国連を無視してイラクで戦争したアメリカを否定することになる。逆にアメリカ軍の後方支援(戦闘任務を含まない)が自衛隊の新任務とすれば、前線や後方の区別がないテロやゲリラ戦では説得力がない。

米ソ冷戦が終結した1990年、自衛隊は仮想敵国を失ってパニックになった。北朝鮮を新たな第一脅威にすることと、国際的な復興支援活動と、国内の大規模災害(阪神大地震)の救援でなんとか乗り切った。しかしイラクに自衛隊を派遣したことで、アメリカの戦争に追随することの危険も理解できた。

それでも年内には、日本の新しい国家戦略の基本(防衛大綱の改定)が発表になる。しかし政府は新たな国家戦略を見つけられない。自衛隊の悩みは深刻である。
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by culturalnews | 2005-09-08 09:04 | 神浦元彰の世界の見方
カルチュラル・ニュース 2004年9月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

日本では防衛戦略の見直しが始まった。基本的には米ソ冷戦時代の大戦略時代から、小さな地域で起きるテロやゲリラ戦に対応する小規模戦略時代への転換である。

日本に大規模な軍事攻撃が行われないとして、戦闘機や戦車の数を削減し、護衛艦や駆逐艦、哨戒機の数も減らすという。

そのため今まで自衛隊の使用する武器のみを生産していた軍需産業が、日本の「武器輸出三原則」の見直しを政府に求めてきた。またや防衛庁も見直しに応じる姿勢を見せている。

元々、武器輸出三原則とは、①紛争国に武器を輸出しない。②共産国に武器を売らない。③国連が武器輸出を禁じた国に武器を売らないという輸出禁止三原則だった。それが段々と拡大していき、いつしか日本はすべての国に武器を輸出しない武器輸出禁止国になった。

しかし唯一の例外がアメリカである。レーガン大統領と中曽根首相時代に、日本はアメリカに対し兵器技術に限って提供できる新たな規定を作った。それ以外は今でも日本は兵器輸出を禁じている。

しかし日本の経済界は、これからも武器輸出を禁じれば、技術競争に不利になると主張する。また武器の国際市場に日本も参画して、大きな利益を得たいと考えている。

ちなみに日本製の兵器は国際市場で売れるのか。簡単に言うと、戦車や装甲車、戦闘機や潜水艦などは売れない。性能が良くても価格が高すぎるのである。日本製の90式戦車の価格は米国製M1A2戦車の3倍である。その上、性能は米国のM1A2戦車がはるかに優秀で信頼性も高い。

ところが日本製で、米国だけでなく、世界の武器市場でも負けないものがある。それは進歩した日本の民生技術を応用した兵器である。例えば、日本が誇る産業ロボットに高感度センサーと移動装置をセットする。

さらにこれに機関銃やミサイルを組み込めば最強のロボット兵士に変身する。この兵士ロボットは重要基地を24時間警備することも、熱砂の砂漠や高層圏の空など、人間には過酷すぎる環境で働くことができる。例え敵に破壊されても兵士の戦死にならない。

ここにハイテク日本が兵器産業に莫大な需要を見込む可能性が潜んでいる。

しかしここで考えるべきことがある。将来、日本が世界市場を相手に兵器産業を興し、莫大な利益を上げるとする。すると日本の産業界そのものが、世界で戦争や紛争が起きることを好む体質に変化する。それが困るのである。

日本は資源や市場を海外に依存している国である。世界各地の治安悪化と混乱は、日本の産業にとって大きなマイナスである。

そのことに多くの日本人は気がついている。今まで日本が発展できたのは、軍事産業に依存しないで、平和国家を目指してきた成果だと知っている。もし日本政府や産業界が、あえて兵器大国を目指すなら、日本人は選挙という方法で平和国家という意思を示す。日本人にはそんな力が残っている。
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by culturalnews | 2005-09-08 09:00 | 神浦元彰の世界の見方
カルチュラル・ニュース 2004年7月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

いよいよ東アジアの軍事情勢が動き出した。今年の夏、在韓米軍は3600人の兵士をイラクに派遣する。しかしその後、イラク派遣部隊が韓国に戻ることはない。さらに在韓米軍は来年末までに12500人の兵力を削減すると韓国に通告した。在韓米軍が2/3規模に削減される。

在日米軍にも新しい動きがある。沖縄の第3海兵師団の砲兵隊が、北海道東部にある矢臼別演習場に移動したいと日本政府に打診してきている。その兵力は700人程度と小規模だが、沖縄の海兵隊が他の地方に分散を始める前触れになる。

さらに極東を担当するワシントン州の第一軍団が、司令部を米国からキャンプ座間(神奈川県)に移したいと言ってきた。まずは軍団司令部を座間で立ち上げる。イラク戦争で米軍はフロリダの中央軍司令部を中東のカタールに移したのと同じだ。

その座間に隣接する横田基地には在日米軍司令部がある。そこに府中市(東京都)にある航空自衛隊の航空総隊司令部を移すようにと米軍が打診してきた。これで米軍と航空自衛隊の指揮が一体化してコントロールされることになる。

明らかに世界的な米軍の再編成(トランスフォーメーション)の一環であるが、その目的はどこにあるのか。危険な独裁者が君臨する北朝鮮を睨んでの再編なのか。否。もう米軍に北朝鮮の軍事力など視野にない。北朝鮮の軍事力は麻痺している。すでに北朝鮮軍は南進(韓国侵入)ができる力は皆無なのである。

今回の米軍再編は、ハイテク兵器の進化と将来の中国や極東ロシアを睨んだ大移動なのだ。北朝鮮が崩壊後に統一される朝鮮国家は、必ずアメリカと軍事同盟を結ぶ。中国も朝鮮半島に米軍が常駐しないことを条件に、アメリカと軍事同盟を結ぶことを許すはずだ。駐留なき米韓軍事同盟である。そうしなければ日本の軍事大国化を招くし、中国東北部の開発に必要な投資や人材を、日本や米国から呼び込むことにならないからだ。

アメリカも中国のICBM(戦略核ミサイル)がワシントンを狙っているので、中国との不要な軍事緊張は避けなければいけない。

しかし朝鮮半島には米国から提供された最新式のハイテク兵器が配備される。そして中露の国境を守るのである。その朝鮮半島の背後に、海に浮かぶ日本がある。日本に東アジアの軍司令部を置いた米軍は、大陸から進出する軍事力を抑止する。日本列島がアメリカの防波堤に塗り替えられる。

これこそアメリカが21世紀に向けた東アジア戦略なのである。まさに日米は軍事一体化を強めていく。しかし軍事では常識でも、アメリカのように片手で握手しながら、片手に棍棒(軍事力)を持つ国と、戦争を禁じた日本が外交を共有するには危険がある。日本の独自性が問われることになった。
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by culturalnews | 2005-09-08 08:56 | 神浦元彰の世界の見方