英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


by culturalnews

駐留なき安保、日本を去る米軍

駐留なき安保、日本を去る米軍-日本にアメリカ軍の司令部が移設させる理由
 
カルチュラル・ニュース 2005年4月 掲載記事の日本語原稿

執筆者=神浦元彰

米軍は冷戦終結後も、日本や韓国など東アジアに10万人の米軍を配置した。これが緊急事態に対応する前方展開戦略である。しかし前方展開戦略は、米軍の駐留コストが高くつくし、異国の地で勤務する米兵たちに不評だった。また沖縄のように、米軍基地によって発生する騒音や犯罪など、地元に与える負担も重かった。その上、徴兵制を廃止した米軍にとって、兵力を東アジアに縛る前方展開戦略は、対テロ戦争で深刻な兵力不足を生む原因になった。

そこで米軍は全世界的に再配置(トランス・フォーメーション)を始めた。これを簡単にいえば、米軍部隊は前方展開戦略をやめて、戦闘部隊は本国やグアムなどに下がり、いつでも、どこでも緊急展開できる戦略に改めることである。

しかし米軍が安易に東アジアから下がれば、そこに軍事力の空白地帯を生み出す。その空白に中国が進出すれば、アメリカは東アジアのプレゼンスを失うことになる。そこで米軍部隊はトランス・フォーメーションで後方に下がるが、軍事力の空白を生まないように配慮することが必要である。

いや、米軍は後方配備で東アジアでのプレゼンスを失うどころか、さらに強いプレゼンスを得ようとするのが、これから始まる日本でのトランス・フォーメーションなのである。

まずアメリカはトランス・フォーメーションとして、韓国や日本と共通の戦略目標を共有することから始めた。互いが別々の目的では、有事の際の連携ができないからだ。次にアメリカは在外の米軍基地を統廃合して、不要になった基地や施設を返還することにした。

その分、米軍は機動力や海外への緊急展開能力を高め、いかなる緊急事態にも対応できる体制に取り組んだ。そのために重い戦車よりも、輸送機に搭載でき、短時間で遠距離に運べる装甲車が重視さている。軽量の装甲車でも、テロやゲリラ戦では十分に役割をはたすことができる。

実際の戦争が起こった場合、軽量兵器やハイテク部隊で戦う体制を作るメドは立ったが、問題は、平時におけるアメリカの東アジアでの影響力をどのように高めることができるか、という、政治の問題である。

そこでアメリカが考えたのは、米・陸海空軍の東アジア司令部を、あえて日本に置くことである。今、海軍は第7艦隊の司令部が横須賀にある。座間(神奈川県)にはワシントン州から陸軍の第1軍団司令部が移転してくる。横田基地の空軍司令部はグアムの司令部を統合して、東アジアと西太平洋の米空軍を指揮する司令部になる。そして座間の第1軍団司令官に、米陸軍の大将級を司令官に配置することにした。

これで日米安保体制は東アジアでプレゼンスを増すことになる。むろん米軍の司令部を守るのは日本の自衛隊が行う。

日米軍事同盟は在日米軍の駐留なき日米安保体制に向かって動き出す。
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by culturalnews | 2005-09-08 09:09 | 神浦元彰の世界の見方