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英字新聞カルチュラル・ニュースの日本語要約


by culturalnews

カルチュラル・ニュース2008年5月号の日本語要約と解説

●カリフォルニアの自然に溶け込む日本の茶室(1ページから5ページに続く)

サンタバーバラ植物園は地元で育った植物だけを集めた植物園であることを売り物にしているが、およそ日本の景色とかけ離れたこのカリフォルニアの自然の中に、茶室が置かれている。

この茶室がサンタバーバラに運ばれてきたのは1949年のこと。日本で作られた後、分解されて実業家ロイス・グレートウッド氏の所有地であるレモン果樹園の中に組み立てられた。この茶室は、日本の実業家からグレートウッド氏への贈り物だった。

1958年に茶室を含む屋敷はエスベンシェイド一族の所有となった。エスベンシェイド家の娘アリスは、子供のころ、この茶室で遊んでいたが、後に成人して日本を旅行し、生け花や茶道に出会い、茶室の価値を理解するようになった。

その後、エスベンシェイド家が、この屋敷を手放すことになり、新しい所有者が茶室を取り壊し、その場所に住宅を建てる計画を持っていたので、サンタバーバラ・(三重県)鳥羽・姉妹都市委員会がエスベンシェイド家と一緒になって、移転先を探し、1998年に現在のサンタバーバラ植物園内に移築された。

茶室の周りは、カリフォルニア原産の植物ばかりで、日本の植物は見当たらないが、庭園デザインは伝統的な日本の庭に基づいている。

この茶室は、裏千家15代・鵬雲斎(ホウウンサイ)家元から、「心看庵」という名前をもらっている。サンタバーバラで長年、生け花を教えていたハーティ・アン・ルックさんを記念して付けられた名前なのである。

現在、この「心看庵」は、裏千家の教師免状を持つ、ソロバング(サンタバーバラの隣)に住む笠井宗京さんと茶道を勉強するひとびとによって管理されている。笠井さんは、これまで、20年以上にわたって、サンタバーバラ近郊で、頼まれれば、どこにでも出かけて、茶道を紹介し続けているひとだ。

笠井さんは、日本で子供の時から裏千家の茶道を習っていたが、2003年から2004年にかけて6ヶ月、京都の裏千家本部で、集中講義を受け、一級師範の免状を受けた。笠井さんの茶道クラスは、ソロバングの自宅とこの「心看庵」の2カ所で行われている。

4月11日には、サンタバーバラ鳥羽・姉妹都市委員会の斡旋で、ロサンゼルス総領事が初めて、「心看庵」を訪れることになった。この日、手塚義雅総領事代行と千鶴夫人がロサンゼルスから訪れ、「心看庵」で、サンタバーバラ市のマーティー・ブルム市長を始め、市議会議員、サンタバーバラ植物園の管理職たちとお茶を楽しんだ。

来客にお茶を運ぶ役を務めたリンダ・マシューズさんは、現在、サンタバーバラ鳥羽・姉妹都市委員会の会長を務めている。やはり姉妹都市委員会の中心的役割を果たしているサンタバーバラ在住の脇田孝子さんといっしょに、4月11日のロサンゼルス総領事訪問の準備をしたひとだ。

マシューズさんさんが、初めて、茶道に出会ったのは7歳のときで、叔母に連れられてサンフランシスコのゴールデン・ゲート公園内のお茶会に行ったときだった。その後、夫の転勤で、福岡に行き、そこで、福岡市が開いていた外国人向けの茶道クラスを取ったことが、茶道に入るきっかけとなった。

その後、マシューズさんの夫の転勤先は、横浜、京都、東京、ワシントン、そしてサンタバーバラと続くが、そのたびに転勤先で茶道の先生を見つけることが、マシューズさんの生活の一部となってしまった。マシューズさんにとって、茶道で作る人間関係は、例え、年齢の若い「コウハイ」との付き合いであっても、いつも人生を豊かにしてくれるものになっている。

「心看庵」では、年4回、サンタバーバラ植物園の「季節のお茶」シリーズとして一般が参加できるクラスを開いている。1回の定員は7人までで、女性は白色のソックス、膝が隠れる長さのスカートを着用しなければならない。首や腕に装飾品を付けていけない。また香水も付けてはいけない。男性もやはり白いソックスで、ズボンを着用すること。ジーパンは不可。

「季節のお茶」シリーズの日程は、サンタバーバラ植物園に問い合わせること。
電話番号: (805) 682-4726 ホームページ www.sbbg.org または www.sbteahouse.org

●50年以上にわたって日本舞踊を海外に紹介する花柳若奈師匠(1ページから6ページに続く)

日本舞踊の花柳若奈師匠は、50年以上にわたって、日本舞踊を海外に紹介している。現在、ロサンゼルスに住む若奈師匠が、初めての海外公演に参加したのは、1953年、わずか20歳の時だった。この海外公演は、第二次世界大戦後、日本から初めての本格的日本舞踊公演で、当時の日本舞踊のトップ舞踊家・吾妻徳穂師匠が率いる「アズマ・カブキ・ダンサーズ・アンド・ミュージッシャンズ」によって行なわれた。この公演旅行では、ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンDC、ロサンゼルス、サンフランシスコを回った。

「アズマ・カブキ・ダンサーズ」第二回の海外公演は、1955年から1956年にかけて、ヨーロッパの13カ国を巡業した。

若奈師匠は、26歳の時、日系二世で、ニューヨーク育ちのエンタテーナー、ジェリー伊藤と東京で結婚式を挙げるが、そのわずか、1カ月後の1959年1月には、ロサンゼルスで、NBCテレビの「ジャパン・スペキュタクル・ショー」に出演した。

1978年には、トロント大学の招聘で、アイルランド人で詩人・劇作家のイェイツ作「鷹の井戸」の振り付けを行い、自らも踊った。このトロント公演は、イェイツが、1916年に初めて、「鷹の井戸」をロンドンで公演したとき、舞台に立ったのが、若奈師匠の義父にあたる伊藤道郎(イトウ・ミチオ)だったことの縁で、実現したものだった。

「鷹の井戸」は、当時、日本に能というパフォーマンスがあることを聞いたイェイツが、自らの創作で書き下ろした「能」脚本だった。伊藤道郎は、当時、アメリカ・ヨーロッパで活躍するモダン・ダンスのパイオニアであり、第一級のダンサーだった。

若奈師匠は、東京の富裕層の環境で育った。8歳の時に、花柳流家元、二代目花柳壽輔から稽古を受けるという幸運に恵まれた。若奈師匠の兄弟は、才能豊かな人材ばかりで、作家の山口瞳は、実兄だった。

東京で、第一級の日本舞踊家として、また、若手を育てる日本舞踊の厳格な指導者として活躍していたが、夫のジェリー伊藤が脳溢血を患い、母国語の英語での言語回復訓練が必要なことから、すでに、2人の子供が住んでいたロサンゼルスに1997年に引越しした。

ロサンゼルスでの若奈師匠は、ロサンゼルス市広域芸術振興基金プログラムの下に、日本舞踊教室を開いている。1年間にわたるこのプログラムは、人種、性別、年齢に関係なく、日本舞踊の基礎を教えるというものだ。

また、カリフォルニア伝統芸術同盟の振興基金を受けた、中級者用の個別指導教室も行っている。UCLAの日本人学生が主催する「日本文化ナイト」やUCアーバイン校でのイベントに参加して日本舞踊を披露するボランティア活動もしている。

このほか、若奈師匠自身の舞踊団体として「ワカナ・ハナヤギ・コンサーバトッリー・オブ・ジャパニーズ・クラシカル・ダンス」を結成し、日本舞踊の上級者を育てている。

ロサンゼルス市広域芸術振興基金による1年間のプログラムの発表会が、6月28日午後1時30分から、リトル東京のメリノール・カトリック・センターで行われる。入場は無料。詳細問い合わせは、(310) 842-3779 へ。

●2008年相撲グランプリには日本大学から選手が参加(2ページ)

●日米文化会館の子供の日イベント、5月18日(2ページ)

●大相撲ロサンゼルス巡業、6月7、8日(3ページ)

●テメキュラ姉妹都市委員会が主催する日本文化紹介「子供祭り」、6月1日(3ページ)

●桂カイシさんの英語落語、5月25日(3ページ)

●日本人グループによるコーラス・フェスティバル、6月15日(3ページ)

●太鼓グループ「タイコプロジェクト」がフォード野外劇場で「リズミック・リレーション88」を公演、7月12、13日(3ページ)

●映画「眉山」、日米劇場で上映、6月29日(3ページ)
●映画「はんなり」サンタモニカのレムリー映画館で上映、6月26日から7月2日(3ページ)

●京都の着物スタイリスト冨田伸明(トミタ・ノブアキ)さんが着物紹介のためのイベントを南カリフォルニアで開催(4ページ)

着物をデザイン・製作し、テレビ番組に提供したり、各地で着物ショーを企画・主催している京都の着物スタイリスト冨田伸明さんが、3月11日から17日にかけて、ラスベガスを含む南カリフォルニアで、日本から豪華衣装を持ちこんで、アメリカ人に日本の着物を紹介するイベントを行なった。国際交流基金ロサンゼルス事務所との共催イベント。

冨田さん(44歳)は、27歳のときに、京都に着物販売の「京香織」を設立した。映画やテレビ番組に衣装を提供するために、着物を自らデザインし、製作まで、手がけるようになった。NHK紅白歌合戦の出演者にも着物を提供していることで、全国的に有名になっている。

南カリフォルニアでは、サンタアナのバーワー博物館、ロサンゼルスの韓国文化センター、リトル東京の日米文化センター、ウエスト・ロサンゼルスのウインドワード高校、そしてUCLAで、着物ショーを行なった。

冨田さんの着物デザインは、伝統技術とモダン感覚が合わさったもので、着物ショーの始まりでは、冨田さんがデザインしたカリフォルニアをテーマにしたサンフランシスコ帯、ハリウッド着物が紹介された。サンフランシスコ帯は、サンフランシスコ名所のゴールデン・ゲート橋やフィッシャーマンズ・ワーフをモチーフに使っている。ハリウッド着物では、8ミリカメラや「ハリウッド」の文字看板が織り込まれている。

また、富山県氷見(ひみ)市から見える立山連峰の壮大な景色を、正確に縮小して織り込んだ、帯も披露された。この帯を作ったのは、氷見市民の立山連峰を敬愛する気持を表現するため、と製作の動機も説明した。

冨田さんは、京都育ちで、高校を卒業して、京都の呉服問屋で修行している。

ロサンゼルス韓国文化センターでの着物ショーでは、韓国の民族衣装のデザイナーの作品と冨田さんの作品が、同じ舞台で披露された。

(この文章は、ペパーダイン大学の客員講師を務めるジョーダン・ヤマジ・スミスが担当した。スミスは、今回の着物ショーで冨田さんの通訳を務めた)

●東京情報 「東京国立博物館」(4ページ)日本美術の最高作品を集めている東京国立博物館は、浮世絵展示をはじめ、奈良・法隆寺の国宝も常設されている。日本美術を鑑賞するにはもってこいの場所である。(この文章は、東京大学特任講師の板津木綿子(ゆうこ)さんが担当しました。)

●広告:協栄トレジャーが浴衣を販売(4ページ)

●三笠宮妃彬子(アキコ)さまがカリフォルニアでご研究(5ページ)

オックスフォード大学に留学中で、日本美術史研究をしている三笠宮妃彬子さま(26歳)は、1月中旬から4月中旬までの3カ月を、カリフォルニア州中部のハンフォードに滞在され、ハンフォードのクラーク・コレクション、ロサンゼルスのプライス・コレクションを研究された。

彬子さまは、大正天皇の曾孫にあたる。祖父君は、大正天皇の四男、三笠宮。父君は寛仁(ともひと)親王で、母君は吉田茂の孫にあたる信子さま。麻生太郎・前外務大臣は信子さまの兄にあたる。

彬子さまは、2004年3月に学習院大学を卒業後、オックスフォード大学に留学され、現在、博士課程で、日本美術のヨーロッパ人コレクターの比較研究をされている。彬子さまが、イギリスで研究をしていらっしゃるのはウィリアム・アンダーソン(1842-1900)で、現在の大英博物館の日本美術の基礎を作ったコレクター。アンダーソンは、1870年代にイギリス軍の医務官として日本に滞在した。

彬子さまがハンフォードで滞在された場所はクラーク・センター日本美術研究所で、
ビル・クラーク、リビー・クラーク夫妻によるクラーク・コレクションを所蔵している。クラーク・センターは、米日基金の援助を得て、ドラッカー・フェロー奨学金を設立、その第一号を彬子さまに贈った。ドラッカー・フェロー奨学金は、近代経営学の創始者として有名なピーター・ドラッカーとドリス夫人の日本美術コレクターとしての功績をたたえるもの。

19世紀のイギリス人コレクターと21世紀のアメリカ人コレクターの比較研究の報告を彬子さまは4月13日に、クラーク・センターで行われ、約70人が聴講した。出席者の中には、サンフランシスコから長嶺安政総領事夫妻、ロサンゼルス総領事館からは文化広報センター長の丸岡克己領事と夫人がいた。

クラーク・センター日本美術研究所は、フレスノの南郊約45マイルにあり、1995年に設立されている。鎌倉時代から明治に至るまで、幅広く日本美術を約3000点収集しており、個人コレクションとしては第一級と評価されており、ヨーロッパ、アメリカ東部、そして日本からも、研究者が頻繁に訪れている。

「蔵」と呼ばれるギャラリー棟は、壁際に「床の間」を想定した高さ約50センチの台が配置され、その上に畳が敷かれている。日本美術は、畳の上に座って鑑賞されていたため、同じ目線を再現する建築デザインになっている。また、クラーク・センターの図書室は、寄贈によって蔵書が増えている。

クラーク・センターの開館日は火曜日から土曜日で、午後1時から5時まで。入場料は一人5ドル。現在の展示は「中国の影響:中国で描かれた絵画から日本画への変容」で、8月2日まで。8月中と9月の前半は、休館になる。連絡先は電話(559) 582-4915 ホームページは www.ccjac.org.

●日米協会が、日本画コレクターのプライス夫妻に「国際市民賞」を贈呈する、6月25日(5ページ)贈呈式は、プライス夫妻のコレクションが展示されるロサンゼルス・カウンティー美術館日本パビリオンにて。日米協会では、このイベントのスポンサーを募集中。

●日本政府の春の叙勲、ロサンゼルスの篤志家・ジョージ荒谷氏らへ(6ページ)米国ケンウッド元社長、ミカサ陶器の創立者で、篤志家のジョージ荒谷氏(90歳)に旭日重章。元サンキスト組合長、日米協会の会長を務めたラッセル・ローウェル・ハンリン氏(75歳)に旭日中授章。元日本語学園協同システム理事長、川口吉則氏(72歳)に旭日双光章。

●広告:ガーデナ・バレー日本文化センターのカーニバル、6月28、29日(6ページ)
●広告:日本の古道具販売「玄海」5月11日からセール(6ページ)

●ロサンゼルス総領事に伊原純一氏が着任、5月27日に歓迎会が開かれる(7ページ)

スシ職人養成学校経営者のアンディー松田のコラム「東京で、世界の日本食会議が行なわれる」(7ページ)

●広告:日本語学園協同システムの授業見学会、5月31日と6月7日に(7ページ)

●パシフィック・アジア美術館での民芸展、6月6日から2008年1月6日まで(8ページ)

●広告:サンタバーバラ植物園で、盆栽展、5月17、18日(8ページ)

●広告:エバ航空、3月30日から、ロサンゼルスー大阪路線を就航(8ページ)

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by culturalnews | 2008-05-15 05:42 | 月別の日本語要約