報告者:東 繁春 (カルチュラル・ニュース編集長)
◎フロントページ・トップの写真(左から)高野山米国別院の初詣で販売されるお守りお札や破魔矢(3ページ)。ナギナタ道場(2ページ)。色紙展示(4ページ)
◎「伝統的」行事を体験できるロサンゼルスのお正月(1ページから、3ページへ)
ロサンゼルスのお正月では、現在の日本では、あまり経験することがない「伝統的」行事を見ることができます。
今年で20回目を迎えるのが、「カリフォルニア愛石会」によるハンティングトン・ライブラリー(博物館)での「愛石展」です。クリスマスの翌日26日から開幕し、1月1日はパサデナ・ローズ・パレードの混雑を避けて休館しますが、1月2日まで続きます。
英語ではビューイング・ストーン(鑑賞するための石)ショーと表現します。カリフォルニア愛石会は、1983年にニナとラリーのラグル夫妻によって「カリフォルニア盆栽協会」の中に発足しました。
ハンティングトン・ライブラリーは、大富豪ヘンリー・ハンティングトンが残した大邸宅の敷地200エーカーに、博物館や美術館が建てられています。グーテンベルグの作った世界最初の聖書本や死海文書など考古学の重要文献などを所蔵する世界レベルの博物館です。ミュージアム(博物館)という名称は使わずライブラリー(図書館)という名称を使っていますが、実態は博物館です。
正式名称は、ハンティングトン・ライブラリー・アンド・ガーデン、といい、1912年にまず、最初に日本庭園作られて、その後、バラ園、サボテン公園、そして最近は中国庭園も作られています。また、アメリカ人画家の一級品を集めた美術館もあります。入場料は、平日15ドル、週末20ドルです。
カリフォルニア愛石会のメンバーは、大半が白人です。日系人や日本人も数名いますが、今や、アメリカ人中心の団体になっています。
「愛石展」は、入場券販売所の手前に入口があるフレンズ・ホールで行われるため、入場料なしでみることができます。もちろん、「愛石展」のあとで、入場券を買って、ハンティングトン・ライブラリーの日本庭園や美術館を散策するのも、楽しいものです。
日本でもなかなか、見ることができないのが高野山米国別院(リトル東京)での初護摩です。日本の高野山で修業をつまれ、在米30年の旭清澄・高野山北米総監によって元旦午前10時から、別院本堂内で行われます。高野山米国別院は正月三が日、午前10時から午後5時まで、初詣客を受け入れており、初詣客は三日間で数千人の数に達し、年々増えています。お守り、お札、破魔矢など、日本の正月にかかせないものも、購入することができます。
「正月事始」(しょうがつ・ことはじめ)は元来12月13日に、正月の用意を始めるという習慣ですが、ロサンゼルスの日米文化会館(JACCC)の芸術部長の小阪博一さんは「新年の初めに行うイベント」の意味に使い、毎年最初の日曜日に、弓を射る儀式をクライマックスにもってくる日本伝統芸術と西洋芸術のコラボレーション(共同出演)パフォーマンスを行っています。今年のテーマは「初笑顔」で、ロサンゼルスから藤間勘須磨会の日本舞踊、日本から清虚洞一弦琴宗家四代目の峰岸一水さんの一弦琴の演奏が行われます。
一弦琴は、江戸時代に作られた楽器で、一本の弦だけで音を出します。このほかには、韓国民族舞踊とコルバーン・スクールのダンス生徒によるモダンダンスが上演されます。最後に初矢を射るパフォーマンスをするのは小阪さんと一弓会です。一弓会は、小阪が指導する弓道グループで、白人と日系人が中心です。JACCC「事始」はアラタニ日米劇場で、1月3日(日)午後1時から行われ、入場券は、一般が20ドルです。
JACCC「事始」のあとは、日米文化会館1階のドイザキ・ギャラリーで「色紙展」(4ページ)が行われます。今年のテーマはパフォーマンスと同じ「初笑顔」で、一般から募集した色紙約200点が2月28日まで、展示されます。入場は無料です。
南カリフォルニア日系商工会議所が主催の「お正月inリトル東京」イベント(3、4ページ)は元旦午前11時から午後4時まで、ウエラー・コート・ショッピング・センタージャパニーズ・ビレッジ・プラザ(JVP)で行われます。
ウエラー・コートがメイン会場で、午前11時からUSC(南カリフォルニア大学)火山太鼓の演奏で開会式が行われます。獅子舞、餅撒き、書初め、着物ショー、民謡などが午後3時まで行われる。JVPステージは12時から開会式で、福岡県人会メンバーによる小倉祇園太鼓の演奏、餅撒き、民謡、阿波踊り、カラオケなどが午後4時まで行われます。ウエラーコートでは、餅つきが行われます。いずれも、無料で楽しむことができます。
LA着物クラブは、第1回の「ミス着物LAコンテスト」を行います。午前11時45分までにLA着物クラブ・ブースで登録を受け付けます。発表は午後1時35分から、ウエラー・コート・ステージの着物ショーの中で行われます。ミス着物に選ばれたひとには100ドル、次点のひとには50ドルの賞金も出ます。
◎都ハイブリッド・ホテルがトーレンスに開業(1ページから6ページへ)
日本の近鉄が出資する「都ハイブリッド・ホテル」が日本企業の多いロサンゼルス南郊のトーレンス市にオープンしました。場所は、日本人が集まるショッピングセンター「ミツワ・マーケット・プレイス」の北隣です。日本文化とアメリカ文化の融合、最新技術と環境保護の融合を基本理念に作られたホテルで、7階建て、208室のホテルです。
ホテル・ロビーには盆栽が3点置かれ、1階催し物会場ロビーにはロサンゼルス在住の画家・灰原宣明さんによる日本画風な抽象画が2点飾られています。
12月2日に行われたオープニング・イベントには、トーレンス市長など地元政治家や日本人、日本企業など約500人が招待されました。日本からは、山口昌紀・近鉄会長が参加しました。
予約は www.miyakohybridhotel.comからできます。12月24日現在では、平日が139ドル、週末$99ドルの料金が出ています。日本式の体全体が入るバスタブやウォシュレット付きトイレが全室に入っています。1階に、日本食をベースにした創作料理の「権八レストラン」が開業しています。岩盤浴を売り物のスパ「利楽園」が2月にオープンします。
◎ロサンゼルスで一足さきに天皇誕生日イベント(1ページの写真と6ページに記事)
平成天皇の誕生日は12月23日ですが、当地ロサンゼルスでは、クリスマス休日にかかるため、例年、祝賀行事は12月第一週に行われています。12月3日にロサンゼルス総領事公邸で行われた祝賀式には地元の名士数百人が招待されました。今年は、ロサンゼルスの緊那羅雅楽(きんなら・ががく)による雅楽演奏、そして東京の山野美容学校傘下にある山野着装(やまのきそう)の提供による平安時代衣装、直衣(のうし)と十二単(じゅうにひとえ)のお披露目(写真1ページ上)があり、参加者の目を奪いました。着付けは山野着装の新藤愛子・宗伝が担当されました。また、山野美容学校の理事長、山野正義氏も同行していました。
また12月1日には兵庫県芦屋市から小笠原煎茶道の家元、小笠原秀道氏が、総領事公邸で天皇・皇后への献茶式を行いました。写真(1ページ下)は、天皇・皇后の写真が立てられた式壇にお茶を献上しているところです。左に座っているのが小笠原秀道氏です。
◎アメリカに広がる「なぎなた」(2ページから6ページ)
日本でも、見る機会の少なくなった「なぎなた」を広めている日系人女性がいます。ロサンゼルス近郊ガーデナに住む中野三千代ヘレンさん(70歳)です。中野さんは、世界に「なぎなた」を広めた功績で2009年春の叙勲で旭日小綬賞を受けています。
中野ヘレンさんが「なぎなた」に出会ったのは約40年前です。日本で、徳永千代子先生から初めて「なぎなた」の教えてを受けました。ロサンゼルスでモリ・トラオ先生から「なぎなた」と剣道の両方の指導を受けました。1974年には南カリフォルニアなぎなた連盟を結成し「なぎなた」訓練の基礎を作りました。現在、この連盟の下に4カ所の練習場がロサンゼルス近郊に、そしてフロリダ州タラハシ、ネブラスカ州リンカーンのネブラスカ大学内、そしてアリゾナ州フェニックスの3カ所の練習場があります。ロサンゼルスの練習場のひとつに、トーレンス市エルカミノ大学の「なぎなた」クラスがあります。週2日(火曜日と木曜日)、正規のクラスとして、中野ヘレンさんは、アメリカ人学生に「なぎなた」を教えています。
アメリカの「なぎなた」は、中野さんが会長の南カリフォルニア連盟のほかに、北カリフォルニア連盟、グレーター・ニューヨーク連盟、ロッキー・マウンテン連盟、太平洋北西連盟があり、これらの地域連盟が合同して合衆国ナギナタ連盟を結成しています。
また1990年には国際なぎなた連盟が作られ、中野さんは、パン・アメリカ地域代表に任命されています。
◎柔道指導員の検定講習会、2月5-7日(2ページ)
ユナイテッド・ステーツ・柔道・インク(USJI)は、柔道指導員の検定講習会を2月5日から7日まで、パコイマの日系コミュニティー・センターで行います。ウエスト・ポイント米陸軍士官学校の教官、ヘクター・モラレス中佐、講道館指導員で、皇宮警察柔道師範の榎義治・七段が講演する。ロサンゼルスの柔道家、今村春男八段、永利靖彦七段、清野利幸七段が指導にあたります。
また、2月7日午後3時からの講演デモンストレーションは一般に公開されます。参加費は15ドル。問い合わせ、申し込みは柔道リサーチ・デベロプメント・グループまで。
◎オーロラ財団の奨学資金(2ページ)
◎リトル東京でのお正月行事(3ページ)
◎第20回愛石展がハンティングライブラリーで、12月26日から1月2日まで(1月1日は閉会)3ページ ◎「伝統的」行事を体験できるロサンゼルスのお正月(1ページから、3ページへ)の項目を参照ください。
◎玉城流(たまぐすく・りゅう)扇寿会(せんじゅ・かい)の琉球芸能公演、1月31日(3ページ)
総勢40人が沖縄から来て、琉球芸能の真髄を披露します。会場は、エルカミノ大学のマーシー講堂(2000席)です。入場券は前売りが35ドル、当日券は45ドルです。沖縄県人会(OAA)オフィスなどで、購入できます。
◎クラーク日本美術・文化研究センターのサムライ展示(4ページ)
「源平合戦」の大型屏風を中心に、兜鎧、刀、などを総合的に紹介しています。1月30日まで
◎色紙展(4ページ)
◎リトル東京のお正月イベント(4ページ)
◎ミス着物コンテスト(4ページ)
◎(広告)活動写真12月20日(5ページ)
◎(広告)カリフォルニア愛石会の展示 (5ページ)
◎(広告)日本語学園協同システム1月9日から後期授業の開始 (5ページ)
◎(広告)高野山米国別院の初詣(5ページ)
◎(広告)日米文化会館2010年事始パフォーマンス、色紙展示会、子供お正月ワークショップ (5ページ)
◎ 神浦元彰のニュース分析「メディアが伝えない日本」(6ページ)
沖縄の米海兵隊基地の移転問題 将来の北朝鮮の消滅を予測すれば、嘉手納統合が本命
沖縄の市街地にある米海兵隊の普天間飛行場を移設する案で、日本のメディアは鳩山政権が窮地に立ったと報じている。北沢防衛大臣は日米が06年に合意したキャンプ・シュワブ沿岸への移設を支持している。岡田外相は嘉手納基地に統合することを提案した。鳩山首相は沖縄以外の県や国外を検討したいとしている。閣内の3人がそれぞれ別の方向を向いているからだ。さらにゲーツ国防長官とオバマ大統領が来日し、キャンプ・シュワブ案を履行するように強く求めたと報じられた。このままでは日米同盟が破綻するという危機説まで飛び出している。
しかし政治や外交の駆け引きを差し引けば、普天間基地移転は嘉手納基地統合しかないというのが私の考えだ。なぜなら沖縄の海兵隊は、韓国に駐留する米軍を助けるために駐留している。北朝鮮が韓国に攻めてくれば、直ちに朝鮮半島に緊急出動して在韓米軍を支援するためである。その間に米本土から、米陸軍や米海軍が応援に駆けつけるという前方展開戦略である。
しかし北朝鮮が消滅し、在韓米軍が韓国から撤退すれば、在沖の海兵隊は沖縄に存在する意味を失う。海兵隊は中国という大国に正面から対決する軍隊ではない。それは米国の陸・海・空軍の役割である。
今は、北朝鮮が韓国に攻めてくる可能性は限りなくゼロに近いのに、沖縄に新たに巨大海兵隊新基地を造る意味がないというのが嘉手納統合案の根幹である。
嘉手納基地には隣接して嘉手納弾薬庫がある。そして弾薬庫の敷地が嘉手納基地の1,3倍という広大なのである。アメリカ軍は精密誘導兵器の普及で、弾薬庫に貯蔵する弾薬量が激減した。そこで嘉手納弾薬庫の一部に海兵隊のヘリ部隊用の滑走路建設は可能である。
米軍が嘉手納統合に反対している一番の理由は、現在の2本の滑走路を、空軍の戦闘機と海兵隊のヘリ部隊が共有しなければ、ならなくなるからだ。しかし、弾薬庫跡地にヘリ部隊用の滑走路を作る案であれば、米軍に反対の理由はなくなってしまう。
◎日系人のソーテル地区で集いの会(6ページ)1月2日午後1時から5時まで、ウエスト・ロサンゼルス仏教会にて。参加費は、ひとり20ドル、夫婦の場合は30ドル。
◎アンディー松田の寿司職人学校(7ページ)一般の料理教室やグルメ食材店でも寿司教室を開催するところが増えています。
◎(広告)骨董「イチ・ニー」のセール (7ページ)
◎(広告)寿司職人学校 (7ページ)
◎(広告)香川保険会社 (7ページ)
◎(広告)カメラ・写真用具の専門店・木村フォトマート(7ページ)
◎(全面広告)都ハイブリッド・ホテルがトーレンスに開業(8ページ)